※1 一定の手続きによる
※2 契約期間が5年未満の派遣社員に対し、派遣会社は無期転換する義務は負っていない 拡大画像表示

「5年ルールは派遣会社(雇用主)と派遣社員(労働者)との契約、3年ルールは派遣会社、派遣社員、派遣先企業の3者による契約という違いがある」(大手派遣会社役員)というから、何だかややこしい。

 平たく言えば、国がこれらのルールを雇用主(派遣会社)に義務付けることにより、派遣社員が一定の条件を満たせば、従来よりもずっと安定した雇用を保障されるということだ。そう言われると、派遣社員にとっては望ましい法改正に思える。そもそも、国が派遣社員の労働環境を改善するためにつくった法律に基づくルールなのだから、当然と言える。にもかかわらず、何が「問題」となるのだろうか。

 背景には、理想と現実のギャップがある。

 大前提として、法律には必ず解釈の仕方によってメリットとデメリットの両方がある。法律の趣旨にかかわらず、「5年ルール」「3年ルール」の対象となる派遣社員は、メリットばかりを享受できるわけではない。

 派遣会社や派遣先企業の思惑も関わってくる。リーマンショックや東日本大震災以降の日本企業において、派遣社員は都合のいい「雇用の調整弁」と見られてきたフシがある。派遣会社も、そんな企業の旺盛な需要に応えて人材を送り込んで行った。彼らにとって、雇用調整の自由度を狭める今回の法改正は、必ずしも歓迎できるものではない。法律の抜け道を探る企業が現れ、派遣社員が不利益を被る可能性もある。

 2つのルールについて、長い間派遣社員が派遣会社からきちんとした説明を受けておらず、十分な知識を得られなかったことも問題だ。中には企業の人事担当者さえ、法改正の詳細を知らないケースもある。だから冒頭の女性のように、派遣社員の間に漠然とした不安が募るのだ。メディアの報道も不安を煽るものが中心となっている。

 大切なのは、当事者となる派遣社員が、「2018年問題」の焦点となる2つのルールを理解し、法律の趣旨である雇用の安定、有意義な働き方の実現を目指すことだ。そのための基礎知識と注意点をわかり易く解説しよう。