ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経営のためのIT

2018年に注目すべきIT戦略テーマ

――「ITR注目トレンド2018」より

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第76回】 2018年1月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
4

テクノロジーの高度活用

 最後は、「テクノロジーの高度活用」である。同分野は、あらゆる新出のテクノロジーのなかでも、その影響が広範囲の産業に行き渡り、市場浸透が進むことから、具体的な方針化や活用指針を打ち立てるべき重要度の高いテーマがあげられる。戦略テーマと予測を以下に示す(図4)

9.第2段階のクラウド活用戦略の策定:
単なるサーバの置き換えではないレベルのクラウド活用が進んでいる。大規模基幹システムのIaaS移行やPaaSによるシステム構築に取り組むユーザー企業が増えている。企業は自社ITプラットフォームとしてのクラウド活用戦略を策定する必要がある。

10.ビジネスにおけるセキュリティ・バイ・デザインの確立:
セキュリティ投資はコストではなく企業防衛費としての役割が増す中、クラウドやAI/IoTなどのビジネスにおけるセキュリティ・バイ・デザインの確立が求められている。戦略的に外部サービスを活用することがセキュリティを担保するうえで重要視される。

11.高度化するデジタルマーケティング技術の活用:
デジタルマーケティングから得られる膨大なデータに基づいて最適化された施策の遂行と効果検証のニーズは高まっており、顧客獲得後のファン化/離脱防止やカスタマーサポート領域まで拡大している。顧客の消費行動の予測など、高度化するデジタルマーケティング技術を活用することが重要となる。

12.IoT推進企業における高度なモバイルネットワーク基盤の構築:
2018年には、国内市場においてLPWAの広範な展開が見られ、IoTサービスの開発を加速させる。同様に2020年には、5G(第5世代移動通信システム)が法人市場に投入され、広帯域かつ高速(低遅延)のサービスをもたらす。IoTを推進する企業は、最新のモバイルネットワーク技術を活かしたビジネス展開を構想すべきである。

 企業のIT/デジタル戦略が既存ビジネスの維持・拡大に加えて、近未来のビジネス戦略に及ぼす影響は決して小さくない。今後企業が打ち立てるIT戦略方針は、これまで以上にビジネスとの整合性を確保し、また経営に貢献するものでなくてはならない。そのためには、ビジネス課題や現場の声といった内部環境を十分に把握することに加えて、外部環境の変化を高い感度で補足し、柔軟に自社方針に取り入れることが求められる。

 とりわけ今日のように革新的な技術が急速に普及する時代においては、いかにテクノロジーの趨勢を読み解いて、適切にビジネスに反映するかが命運を分けることになる。IT基本方針の立案、戦略テーマの選定、重点投資分野の設定、プロジェクトの意思決定といったさまざまな場面において、その妥当性を検証したり、根拠付けを行ったりする際に、ITR注目トレンドをはじめとするテクノロジー動向の調査・分析結果を参照し、活用することが推奨される。

previous page
4
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


経営のためのIT

日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

「経営のためのIT」

⇒バックナンバー一覧