「正直、相当少ないですね」。1月に買い付けが始まった積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の申し込み状況をめぐり、ある投資信託会社の担当者は思わず落胆の声を漏らした。
つみたてNISAは、若年層の資産形成の普及を図ろうと、金融庁の森信親長官の肝いりで創設された新制度。申し込み自体は昨年10月に始まっており、日本証券業協会が1月17日に公表した、つみたてNISAを導入済みの証券7社(大手証券・ネット専業証券)の申込件数は、2017年末時点で合計19万6000口座だった。
この数字は多いのか、少ないのか。日証協の鈴木茂晴会長は同日の記者会見で「(長期投資を想定した制度のため)やってよかったと認識するのに5~10年はかかる」として、「順調なスタートを切った」と述べた。だが、証券業界の関係者からは、冒頭のように出足の鈍さを嘆く声が少なくない。
脳裏をよぎるのは、14年1月に導入された“元祖NISA”開始時の盛況ぶりだ。当時は各社がこぞってキャンペーンを繰り広げるなど、口座開設への積極的な誘致姿勢が目立った。それに比べ、つみたてNISAは今なお未参入の金融機関が珍しくなく、当時とは明らかに温度差がある。口座数を見ても、14年のNISA開始月末に主要証券10社で300万弱あったのに対し、足元ではその10分の1以下にすぎない。