ビジネスパーソンは日々、集まる目的すらわからない会議に参加させられている。月に60時間以上を会議に費やしているという調査もあるが、この非生産的な時間をいかに回避すべきか。「会議は一種の厄災である」と断言する筆者が、そのための5つの方法を示す。


 参加を求められた時点ですでに、生産的でないことが予測できる会議は少なくない。「チーム進捗報告会議」は、各メンバーが1週間をいかに過ごしたかを聞くだけで2時間が過ぎる。「プランニング会議」では、他で済ませておくべきどうでもいい詳細について、話し合わなければならない。「ブレインストーミング・セッション」では、出しゃばりが思いつきを叫んでいる。

 出席せずに済ませられることもあるが、そう簡単に断れるものばかりでもない。とりわけ、招集をかけたのが上司や重要な顧客、影響力のある同僚などの場合は難しい。

 非生産的なことが目に見えている会議を避けるための方法を、5つ紹介しよう。少なくとも、あなた自身の生産性やスケジュールへの被害を軽減できるはずだ。

 まず、出席すべき重要な会議とはどんな会議なのかを、明確に把握しておくことである。そう多くはないはずだ。

 最も重要なのは、何らかの決定がなされる会議だ。たとえば、あなたのチームがプロジェクトAとプロジェクトBのどちらから手を付けるか検討している場合はそうである。このようにリスクの大きな決定を、メールのやり取りで下すことはできない。全員がそれぞれの見解と懸念事項を述べ、解決策をすり合わせる必要がある。こうしたことは、じかに会って話し合うのが一番であり、少なくともテレビ会議で決めるべきだろう。

 これに関連する部類に入るのが、自社やチームの戦略の全体的な方向性を決める会議である。具体的な決定(「8月1日に新しい製品シリーズを発売する」など)は行わないにしても、自分たちがどの方向に進むべきか、ビジョンを統一するための会議は出席する価値がある。たとえば、プロジェクトのキックオフ・ミーティング、ブレインストーミング・セッション(さまざまなアイデアの優劣について大まかな感覚をつかむことができる)、工期の区切りなどに合わせたマイルストーン関連の会議などが考えられる。

 最優先ではないものの許容できるのは、人間関係を深めるために出席する会議である。会議の内容は退屈あるいは不要かもしれないが、ある程度の時間をかけて顔を合わせることで、重要な人間関係を強化できるのなら、悪い話ではない。

 何としても避けるべきは、「進捗報告会議」だ。メールを使えば10分の1の時間で済む。

 第2に、出席要請のハードルを上げることである。会議への参加を要請するのは簡単だ。簡単すぎるのである。

 私がエグゼクティブ・コーチングをするメディア企業のCEOは、いつも不必要な会議に引っ張り出されていた。なぜか。彼女の会社では、全員が自分のスケジュールを共有する文化があり、いつ彼女のスケジュールが空いているかが誰でもわかるようになっていた。そのため、アシスタントに出席を要請するメールを直接送ればよいだけだったのである。

 私は彼女に、スケジュールを「非公開」にし、アシスタントが要請を受け付ける基準を厳しくすること、そして、会議に出るのは特定の日だけにすることをアドバイスした。その結果、彼女のスケジュールに大幅な空き時間ができた。

 第3に、出席要請を審査することだ。そうすれば、あなたの時間と関心を獲得するための事前準備が必要になるため、よほどの理由がない限り、要請に二の足を踏むようになる。私がCEOコーチングをしているクライアントは、会議への出席を求められたとき、通常は以下のような質問をする(またはアシスタントに同じ質問をしてもらう)ことにした。

・議題は正確には何か。
・時間はいつで、場所はどこか。
・所要時間は何分か。
・他に誰が出席するのか。
・何を決定する必要があるのか(会議の重要度を判断しやすくなる)。
・なぜ私が出席する必要があるのか(相手が理由を明確にする必要が出てくる。「進捗報告です」との返事なら、議事報告書をあとで送るよう頼めばいい)。