日本国債が暴落する?
メディアは「危機」で売りたい
先日、ある週刊誌から取材の電話があった。以下は、おおまかなやりとりだ。
記者「実は、将来、日本国債が暴落する場合に何が起こるか、そのために今から何を備えておけばいいか、というテーマで記事を書こうと思っています。たとえば、今、手元に2000万円持っているとすると、国債暴落のリスクに備えて、どんな運用をしたらいいのかについて、教えて欲しいと思います」
山崎「そもそも、日本の国債は暴落するのですか? 仮に暴落するとして、いつ暴落するのでしょうか。また、『暴落』という言葉で、具体的にどうなることを指していますか? たとえば、国債価格が3割以上下がる状況は暴落ですか?」
記者「具体的に何が起こるかは、よくわかりません。むしろ、そのこと自体についてお聞きしたいと思っています。何はともあれ、暴落が起こるという想定で、その場合に起こるであろうことと、その対策をお聞きしたいのです」
1990年代の中頃から、雑誌や書籍は「危機」を売り物にしてきた。特に、日本の財政破綻によって、預金がカットされるといった種類の危機は、読者の恐怖心と興味につながるので人気だ。ともかく、「大変だ!」という状況を想定することから始めたいようだ。
起こり得る最悪の事態を想定しておくこと自体は、悪いことではない。「最悪の場合でも、こうすればいい」という方策が予め十分わかっているなら、事態の悪化を「怖がる」必要はなくなる。
ただ、「日本の国債が暴落するような状況」というだけでは、あまりにも曖昧だ。もう少し、前提条件はっきりさせたい。