何社くらい回ればよいのだろうか

  会社はできるだけたくさん回るべしと言うと必ず心配性の人がいて、具体的に、たくさん回るというのは、何社くらい回ればいいのですか?
  と聞きに来る。50社なら50社、100社なら100社と言ってもらえないと、几帳面なタイプは心配で仕方がないのだ。

  たくさん回ったほうがいいと言うけれど、何社回らなければならないという言い方はしない。
  たくさん回ったほうがいいと言うけれども、回りたくないという人は回らなくてもいいとも思っている。

  就職活動は、「〜しなければならない」という義務ではなくて、「〜したい人は〜することができる」という権利なのだ
  1社しか回りたくない人には、1社回る権利があり、30社回りたいという人には、30社回る権利がある。
  100社回りたいという人には、100社回る権利があるということなのだ。
  一人ひとりが、自分の好奇心とフットワークに合わせて回ればよいのだ。

  就職活動は、義務ではなくて、権利だという意味で、勉強に似ている。
  勉強は義務だと思い込んでいる人がいるが、勉強は義務ではなくて、権利なのだ。
  勉強なんてしなくても、生きていくことはできる。
  勉強したいという人がいて初めて、勉強する権利が生まれるのだ。
  勉強したくないという人に、勉強しなければいけないのだからと、ムリやり勉強させるのは、いじめにすぎない。

  僕は、カラオケだって、歌いたくないというやつに歌わせるなという主義だ。
  歌いたいやつが大勢いるのに、歌いたくないやつに無理強いするのは、時間のムダだ。
  就職活動も、3社回る人は、3社回るだけの好奇心とフットワークがあるわけで、50社回る人は、50社回る好奇心とフットワークがあるのだ。
  3社回る好奇心とフットワークしかない人に、
  「そんなことじゃだめだ。せめて、10社は回りなさい」
  と言ったとしたら、それはいじめだ。その人のためだというのは、大きなお世話だ。10社も回ってしまうと、10社回る好奇心とフットワークが必要な会社に入ってしまうかもしれない。
  もともと3社回るだけの好奇心とフットワークしかないのだから、10社回る好奇心とフットワークが求められる会社に入ってしまうと、就職してから苦しむに違いない。