2011年は東日本大震災、円高、ユーロ危機、タイの大洪水と、日本にとっては内外ともに災厄多き年だった。12年はそれ以上に不確実性、不安定性が高まる年となりそうだ、何しろ世界は政治の季節に突入する。1月の台湾総統選に始まり、露、仏、米、韓では大統領選、中国でも政権交代が行われる。北朝鮮情勢も不安材料だ。そうした状況下、12年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々に、アンケートをお願いし、5つののポイントを挙げてもらった。第14回は、ニューホライズン キャピタルの安東泰志会長兼社長。

①ユーロは当面維持されるが
年内にギリシャの離脱と同国がデフォルトに陥り
新たな政策対応を迫られる

円ドルは当面円高後90円を超える円安へ<br />日本国債は格下げで金利上昇が起こる<br />――ニューホライズン キャピタル<br />会長兼社長 安東泰志氏安東 泰志(あんどう やすし)氏

 昨年のEU首脳会談の合意内容では不十分。問題の根底にある南欧諸国と、ドイツほか北欧諸国の競争力格差は埋められない。抜本策のためにはユーロ共同債や南欧への産業補助金の供与など、ドイツが痛みを負う政策を取るしかないが、政治的に困難と見る。

 結局、ギリシャのユーロ離脱とデフォルトに至る可能性が高い。但し、イタリア・スペインなどのユーロ離脱はコストが高すぎるので、万一これら諸国にまで危機が及んだ場合には、緊急にECB(欧州中央銀行)による国債の買い支えが発動されると考える。また、そのような場合、急激な信用収縮に対応するために、銀行の自己資本比率規制(バーゼルⅢ)の緩和が検討される可能性がある。