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2017年に人手不足問題が露わな危機として現出したのが物流業界だ。業界に横たわる構造的な課題を解決し、荷主と物流業者が協働して改革を断行しない限り、日本のサプライチェーンマネジメントはもはや維持できないところまで来ている。(ボストン コンサルティング グループ パートナー&マネージング・ディレクター 森田 章)

物流危機が現出した2017年

 2017年は、「いつかは来るぞ」と危惧されていた「運べない危機」が現出した年だった。ネット通販が発展する社会インフラとして機能してきた物流、特にラストワンマイルの配送基盤が、拡大した需要に応じられなくなる事態が出現した。

 宅配便最大手のヤマト運輸では、労働組合が会社側に対して「総量規制」の導入を求め、会社側も労働条件の改善に向けて大口・小口を問わず運賃の改定に踏み込んだ。ヤマトに歩調を合わせるように他の物流事業者でも運賃見直しや受け入れ数量の規制などが相次いだ。それでもなお年末の繁忙期の対応は綱渡り状態となり、運送の事前予約を依頼する動きも出た。

 背景にあるのは、重さとしての負荷が変わらなくても、量としての負荷が加速度的に増すネット通販の小口荷物の増加だ。宅配便(メール便を除く)の取り扱い個数は、16年度は40億1900万個で、10年前の2006年に比べて約10億8000万個も増加している。小口荷物の急増と、配達時間指定や再配達の急増などにより物流業界全体の負荷が高まり、それに対応するための人員を手当てできないという悪循環が生じている。

 特にトラックのドライバー不足は「深刻の度を増している」というレベルではなく、まさに危機的な状況にある。厚生労働省の「一般職業紹介状況調査」によると、トラックドライバーの求人(タクシー運転手を含む)である「自動車運転の職業」の有効求人倍率(全国平均)は、15年7月から2倍を上回る状態が恒常化している。17年10月の速報値は2.84倍となり、4ヵ月連続で過去最高を更新した。

10年後のトラックドライバー不足はどれくらいか

 こうした中、ボストン コンサルティング グループでは、「2027年に現在よりもどれぐらいのドライバーが足りなくなるのか?」というシミュレーションを行った。

 2017年現在のトラックドライバー数は約83万人だが、各種の要因のシミュレーションによれば10年後の27年には96万人のドライバーが必要になると見込まれる。一方で、実際のドライバーのなり手は72万人にとどまり、実に24万人のドライバーがさらに不足することとなる。