コンビニ恵方巻は食品廃棄問題の「象徴」だ

今年も「節分の日」がやってくる。当日は恒例の豆まきに加えて、恵方巻を食べる家庭も多いだろう。この恵方巻はもともと関西だけの習慣だったもの。それが近年、コンビニエンスストアの販売を機に、一気に全国に広がったものだ。この恵方巻を例に、食べられるのに大量に捨てられてしまう食品廃棄(食品ロス)の問題を考えてみよう。(食品ロス問題専門家、消費生活アドバイザー 井出留美)

恵方巻で透けて見える
食品ロス問題の真相

 2017年2月3日に恵方巻に関する記事(「コンビニ恵方巻「大量廃棄」問題の解決が難しい事情」)を公開したところ、たくさんのアクセスがあり、多くの反響をいただいた。コンビニエンスストアのオーナーから直接連絡をいただき、記事に述べられている本部の回答と現場の店舗での現状との乖離を教えてくれる声もあった。

 2018年も、コンビニエンスストアやスーパーの店頭などでは恵方巻の予約販売のチラシが多く刷られている。恵方巻の種類も豊富で、キャラクターの絵柄が入った卵焼きでオムライスを恵方巻にしたものや、生クリーム入りのロールケーキタイプのもの、お寺で祈祷した海苔を使ったというものまである。

 筆者は食品ロスの問題を専門としている。各メディアで取材に応じたり、食品ロスの記事を書くと、必ず耳に入ってくる否定的な意見がある。

「たくさん作って余れば捨てる方が、経済合理性がある」

「食品ロスを減らそうとすると経済がシュリンクする(縮む)」

 といったものである。

 果たして本当にそうなのだろうか。恵方巻から食品ロス問題全体を考えてみたい。