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田中秀征 政権ウォッチ

耳を疑う消費税増税をめぐる自己矛盾
野田首相の信頼感はユーチューブで地に堕ちた

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第118回】 2012年1月26日
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 何人かに勧められて、“ユーチューブ”を初めて見た。

 2009年の総選挙における野田佳彦現首相の街頭演説の動画だ。

 これはテレビのニュースで紹介されたこともあって、このところアクセスする人の数が急増しているらしい。

 街角に立った野田氏は、今年の党大会での演説などよりもっと気合を入れて叫んでいる。

 演説の内容は、消費税増税問題である。

「書いていないことはやらない」
そう発言した野田首相は一体どこへ

 私はこの演説の内容を聞いて耳を疑った。今の野田首相と正反対と言ってもよい主張をしている。

 まず、民主党のマニフェストについて、その最重要部分を「1丁目1番地」と言い、こう演説しているのだ。

 「その1丁目1番地は、税金の無駄遣いは許さないということです。天下りは許さない、渡りは許さない、それを徹底していきたいと思います」

 続けて彼は、「消費税5%分の皆さんの税金に、天下り法人がぶら下がっている。シロアリがたかっているのです」と叫んだ。

 「それなのに、シロアリを退治しないで、今度は消費税を引き上げるんですか」

 「シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす、そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。徹底して無駄遣いをなくしていく、それが民主党の考え方です」

 思わず拍手を送りたくなるような正論だ。

 おまけに、マニフェストのルールについても「書いてあることを命がけで実行する。書いていないことはやらない」と明確に規定した。

 この発言は野田首相にとってはもちろん、民主党にとっても致命傷になる。それどころか、これほど政治に強い不信感を生む変節もないだろう。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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