ただ、「刀」の基本スタンスとしては、いわゆる「外部のコンサル」として関わるのではなく、組織の中にがっちり入り込み、長期にわたり、一緒に改革に取り組んでいくという形を取っていきます。

 私たちが入り込むことで「業績を向上させること」のみを目的にするのではなく、「自らマーケティングドリブンの組織に生まれ変わること」を目指しています。もちろん、必要に応じて、対症療法的に、絆創膏を貼るような手を打つこともあります。しかし、それは本来的な目的ではありません。

 企業自らがマーケティングドリブンの組織として生まれ変わるためには、高度なマーケティング技術や数式など、持てるすべて持ち込みますし、マーケターの育成もします。また同時に、コミュニケーション不全を改善することで、ボトムアップで意見やアイデアが上がってきて、戦略が正しく実行される健全な組織づくりも行っていきます。

 そのため、契約期間は少なくとも3年。実際には5年くらいかかります。最初から「その覚悟を持って改革したい」という相手としか組むことができないと、私たちは考えています。

 なぜなら、改革の途中では、必ずさまざまな人や部門間でハレーションが起こります。そのときに「森岡さん、組織でいろいろ問題が起こっているので、そろそろ止めにしてください」と言われても困ってしまいます。マーケティングのテクニックだけを学んでも、そういった組織で起こる問題を、苦しみながらでも乗り越えていかなければ、本当の成果を得ることはできないからです。

 余談ですが、こんな手間がかかって、利益率で考えたら、決してお得ではないビジネスモデルを、頭の良いコンサルティング会社はまずやらないでしょう(笑)。

 しかし、それをやらないことには、本当の意味でのマーケティングは機能しませんし、私たちが掲げる「マーケティングで日本を元気にしたい」という想いは達成されません。

「日本を元気にする」というと、まるで日本企業限定でクライアントを選ぶかのように誤解されるかもしれませんが、そんなことはありません。「日本を元気にする」という部分に貢献してくれている外資系企業はたくさんありますし、そういうところとは積極的にパートナーシップを結んでいきたいと考えています。

「人」と「お金」を掌握せずして、企業改革は成し得ない

 企業の改革に関して、もう少し突っ込んだ話をすれば、やはりポイントは「人とお金を掌握すること」がとても重要です。

 私がUSJに入ったときも、最初にやったのは人事権と予算編成権を掌握することでした。この2つを押さえないことには、真の企業改革はできません。