人が大勢いる部屋で「目を開けたまま」昼寝する

 本書では、睡眠について石器時代の生活から学べることを知ると同時に、現代社会の課題、たとえばスマートフォンやパソコン、深夜残業や時差ぼけの対策についても解説する。

 テクノロジーは素晴らしい進化だ。夜の安眠のためにすべてを捨てろと言うつもりはない。生活から電子機器を完全に切り離すのは無理だし、テクノロジーは今後ますます進化していくはずだ。だが、ほんの少しの心がけがあれば、健康への悪影響を予防できることはお伝えしたい。

 寝室を改善してラブライフを劇的に向上させるコツ、午後の仮眠に絶大な威力がある理由、人が大勢いる部屋で目を開けたまま昼寝をする方法もお教えする。

 また、あなたがいま寝ているマットレスがおそらく「間違っている」ことも知ってほしい。ローンで買った高価格の「健康効果」をうたったマットレスも、その可能性大だ。

 ちなみに朗報は、大きくコストをかけなくても改善ができるということ。誰にでもできる正しいマットレスの選び方をお教えしよう。あなたはもう二度と、「数千個のスプリング付き」のおしゃれなデザインとそれに見合った高価格のマットレスを販売するセールスマンに悩まされずにすむだろう。

ただ寝ている時間を「最高の回復」の時間に変える

 本書のアプローチには、小さな改善を積み重ねていくブレールスフォード監督の「マージナル・ゲイン」の精神が反映されている。

 私の睡眠指導は、自転車チームの改善において多くのアプローチのひとつにすぎなかった。選手たちは、ウィルス対策に適した手洗いの仕方まで指導を受けていた。これがブレールスフォード式の「改善」であり、パフォーマンスを大きく向上させるために、わずか1パーセントを積み重ねるということなのだ。

 私のアプローチでは、目覚めから、夜、目を閉じる瞬間までのあらゆる行動が睡眠に影響を与えると考える。

 ベッドに向かうまでのすべての行動を意識して生活することが、わずかな改善を積み重ねることになる。そのなかに、「『究極の睡眠』の7つのルール」を取り入れてほしい。

 結果は一晩では目に見えないかもしれない――たとえぐっすり眠れた翌朝でも。

 長い目で見てほしい。チームスカイがツール・ド・フランスの優勝者を生むまでには数年かかった。本書のアプローチを使えば、あなたなら、もっと早い時点ではっきりとした結果を出せるはずだ。指導をしたクライアントから数ヵ月後に電話がかかってきて「あなたのおかげで人生が変わりました」と報告を受けることはめずらしくない。

 あなたにも「人生を変える」ことができる。

 まずは睡眠時間を賢く利用することから始めよう。あなたも、私が指導をするアスリートたちと同様に、最大限のメンタルとフィジカルの回復を得られるはずだ。

 また、睡眠時間がもっと少なくてよいことがわかるようになるかもしれない。

 そして、気分が上がり、仕事と家庭の両方に余裕を持つことができる。

 さらには、力をゆるめるべきときや、休憩を取って数分間スイッチを切るタイミングを意識できるようになるはずだ。

「でも、私には実践する時間がない」

 あなたはそう思うだろうか。

 だが考えてみてほしい。本書では、すきま時間を見つけて休憩するちょっとしたコツやテクニックもたくさん紹介する。休憩を活用することで、短時間にもっと多くのことをこなせるようになるとしたら、どうだろう。

 本書は、ベッドの上でパジャマ姿でココアを飲みながら楽しい時間をすごすための本ではない。

 あなたに、もっと賢く眠るコツを教え、眠りという自然の力を、メンタルとフィジカルのパフォーマンス向上に活用する本だ。

 なんの利益もなくただ眠って時間を無駄遣いするのはそろそろやめにしよう。

(本原稿は『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』より抜粋して掲載しています)