こだわり蕎麦屋めぐり
【第15回】 2012年1月31日 鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

祐天寺「月心」――すだち蕎麦で関西出汁と江戸蕎麦の組み合わせの妙を楽しむ

東急沿線にはよい蕎麦屋が顔を並べている。その中で開店2年半でじわりと客の心を掴んだ店がある。それが「月心」だ。関西風の出汁でつくる温汁の「すだち蕎麦」は、亭主の技が光る。旬食材の持ち味を丁寧に引き出す蕎麦料理で和やかに宵を過ごしたい。

食の楽しみに満ちた小体な店
少々遠くてもついつい引き寄せられてしまう

 祐天寺の駅からゆっくりと10分ほど歩く。やがて住宅街に近くなるころに「月心」の瀟洒な門構えが見える。落ち着いた雰囲気の小体な蕎麦屋だが、食の楽しみに満ちた店だ。

「蕎や 月心」。祐天寺の駅から10分程度の瀟洒な造りの店だ。暖簾をくぐる期待度が膨らむ。

 2009年8月のオープン以来、「月心」は幅広い世代に愛されてきた。昨年の春頃から、蕎麦好きの間でよく名前が上がるようになり、ファンが増えていると聞いていた。

 近隣の上客は多少は遠くてもわざわざ出かけてくる。カフェバーと同じような感覚で女性グループで埋まる日もある。ビジネス組が大切な会食に便利にしている。二世代揃っての賑やかな日もある。

 月と地球の引力が働いた関係を自分らと客とになぞった「蕎や 月心」という屋号。名は体を表すと言うが、店内に入ると、その気持ちが覗けるようだ。

 店の大半を占める大テーブルは、厨房からつながるカウンタースタイルになっており、居心地がいい。入ってすぐ右側の角コーナーは4人席のテーブルになっていて、ここも落ち着いて会食ができるように配慮されている。その居心地のよい空間をさらに穏やかなものにする女将の丁寧な対応。手打ち蕎麦屋にありがちな敷居の高さを少しも感じさせないとの評判がある。

(写真左)カウンタースタイルの大テーブル。ふらりと1人できても居心地がいい。2人、4人で来ても対面で座れる。(写真右)ゆったりと会食できる4人席が隠れるように造られている。
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鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

大手広告代理店で営業局長やプロモーション局長を歴任後、東京・神田須田町で手打ち蕎麦屋「夢八」を開店する(現在は閉店)。現在は企業経営コンサルタント、蕎麦コンサルタントとして活躍中。著書に『こだわり蕎麦屋の始め方』(ダイヤモンド社)がある。
◎ブログ:蕎麦の散歩道


こだわり蕎麦屋めぐり

酒と料理と極上の蕎麦。思わず誰かを連れて行きたくなる、五つ星のもてなしが楽しめる手打ち蕎麦屋。蕎麦が美味いのは当たり前、さらにはそこでしか味わえない料理ともてなしがある店ばかりを厳選。付き合いや接待に良し、大事な人と大事な日に行くも良し。店主がこだわり抜いた極上店の魅力とその楽しみ方を紹介する。

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