中国で民族系自動車メーカー躍進、「野良犬」が歩んだ苦難の歴史中国の吉利汽車が展開するLynk & Co が発売したLynk & Co 01 Photo:AP/AFLO

吉利汽車の時価総額が
米フォードの半分以上に

 昨年の夏、筆者はあるニュースに惹かれた。それは、「中国『吉利汽車』の株価急騰、 時価総額はフォードの50%以上に」という『Forbes』の記事だった。

 記事によれば、中国最大の民間自動車メーカー吉利汽車(Geely Auto、ジーリー)の株価が8月8日、香港証券取引所で7%以上上昇して史上最高値を更新、2016年と比べ株価は約3倍の上昇となった。時価総額は220億ドル(約2.4兆円)で、米フォードモータースの時価総額(現在430億ドル)の半分以上に達した、という。

 株価を押し上げたのは、その販売実績だ。ジーリーは7月までの新車販売台数が急増し、売り上げは前年比89%の伸びで、フォーブスが報道した時点での販売実績だけで62万台以上を販売したのだ。

 牽引したのは、16年から販売を開始した新しいグローバルカーブランド、Lynk & Co(中文名:領克)のSUV車だ。

 ヨーロッパのメディアは、ボルボの製造基地でもあるスウェーデンで設計・製造を売り物にしているLynk & Coを、「自動車業界の慣習に挑戦するとの野心を抱いた新しいブランドであり、新たな世界のコネクテッドな世代のニーズと好みに訴えている」と好意的に紹介している。