年間3000万台もの自動車が販売される中国自動車市場に関して、明るい展望を持っている人は、最近、急に黙りこんでいる。また怒涛のように売れているSUV車にも少しずつかげりが出てきている。SUVに賭けた完成車メーカーはこれから苦しくなるだろう。
北京市内で大学、研究所などへ取材に出かけた時に気付く駐車場の変化は、電気自動車の充電スタンドが林立し、結構充電している車が多いということだ。日本と違って、中国はどこにでもガソリンスタンドがあるかと言えば、ちょっとした田舎に行くとそれはなく、代わりに電気は通じている。電気オートバイがどの町でも、群れをなして颯爽と走っていくのを見ると、おそらく中国では日本と全く違って、電気自動車がこれからどんどん増えていくと感じられるだろう。
中国の自動車市場でいつまで経っても変わらないのは、模倣車だ。外国でよく売れている車が、中国のブランドを貼り付けて走っていると思ったら、それはだいたい中国で模倣して作ったものである。なんといっても安くて格好よく、まったく特許侵害などのイメージはない。そもそもそれは特許やデザインなどを「侵害していない」ものだ。
SUVに依存する東風汽車
競争激化でリスク増大
『北京商報』によると、統計では、今年の9ヵ月間で、東風風神S30(風神は東風の自主ブランド名)の販売台数は4500台のみで、前年同期比79.6%減、東風風神A60の販売量は5500台で、前年同期比70.1%減で、東風風神の乗用車勢は全ラインで大敗北を喫し、現在はSUVタイプのAX7だけで販売台数を支えている。
SUVの比重が高く、乗用車の比重が低いことはすでに東風自動車自主ブランド発展を妨げる病気の一つとなっていると言うことができる。過度にSUVに頼っていることで、SUV市場がひとたび下向きになると、その結果は完全な敗北となる。
この危機から脱するために、現在、東風風神は乗用車A60の改良型車種を発売し、希望価格を約2万元も値下げした。東風風神はある面で「低価格」で市場を変えようとしており、また一方でハイクラスの車種にも手を伸ばそうとしている。しかし、東風風神の中心的部品はいまだ合資ブランドの提供に頼っており、自社独自の技術蓄積に欠け、それに加えて自主戦略にも不確実性があるため、東風はいまだ極めて厳しい試練に直面している。