姿勢を「○○」にするだけで一晩グッスリになる理由

パフォーマンスアップの請負人として、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリード、アーセナルをはじめ、オリンピックチームや一流ビジネス企業にまで、毎朝、気分も体調も最高の状態になれる「眠りのメソッド」を提供している伝説的な「スリープコーチ」がいる。これまで理論的な研究者や専門家のメソッドを実践しようとしてもうまくいかなかった人たちが、彼がコーチをはじめると次々と成果が上がるようになり、続々と世界の有名チームから声がかかっているという。海外メディアでも「彼はいったい何をしているのか」と噂されてきたが、このたびついにその門外不出のメソッドを著書『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』にまとめた。本稿では、その驚くべき内容から、「眠る姿勢」についての指摘を特別公開する。

眠りの姿勢がコンディションに大きく影響する

 私が初めてマンチェスター・ユナイテッドに関わったとき、背中に問題を抱えていたガリー・パリスターという選手にアドバイスをさせてもらった。

 彼はベテランのディフェンダーで、何年も第一線で試合を続けていたのが身体に響いた。腰の張りや痛みに苦しんでいたが、脊椎手術に踏み切ることは、いまの医学でさえ最後の手段というべき大ごとだ。

 チームでは、手術はせずに、可能な限り慎重に彼を扱っていた。理学療法士のリーダーであるデーヴ・フェーヴルは、連日ガリーの治療にかなりの時間をあて、ガリーのトレーニングの時間を最小限に減らした。さらには、チームコーチの椅子を取り払って、腰椎をサポートするチェアベッドを設置することまで検討されていた。

 私が着任したとき、彼はチームからほぼ隔離されてリハビリしていた。にもかかわらず、ガリーが睡眠を取るマットレスが彼の姿勢に合わないために、コンディションが悪化していた。

 そこで、マットレスを交換してみたところ、ほどなくデーヴによる治療時間は短くなっていった。治ったわけではないはずだが、悪化することはなくなり、椅子を改造する必要もなくなった。

 超一流のアスリートがベッドの専門店に来店したら、店員は、高額な、最高級のマットレスを真っ先にすすめるだろう。

 しかし、マットレスに大金をはたいたとして、それが正しい選択とは限らない。店員は、専門用語を並べ立てていちばん高い商品を売りたいのだから(マットレスの正しい選び方についての詳細は本書で詳細に述べられている)。