約200店舗のホストクラブがひしめき合う新宿・歌舞伎町。そのど真ん中に昨年、ホストクラブが運営する「本屋」が出現した。現役ホストたちが“書店員”という新たな顔をあわせ持った背景には、歌舞伎町の街に起こっている変化があるという。(清談社 森 江利子)
文学知識もあるホストが店員に!
歌舞伎町に突如出現した「ホスト書店」
昨年10月、東京・歌舞伎町に現れた「歌舞伎町ブックセンター」は、歌舞伎町の現役ホストが書店員として店に立つ、別名「ホスト書店」だ。
一見すると、本屋には見えない派手な店構え。しかし、店内に入ると落ち着いた雰囲気で、コーヒーを飲みながら読書している客の姿も見える。
壁一面の本棚には、谷崎純一郎の『痴人の愛』や、ナボコフの『ロリータ』といった国内外の純文学から、詩集、エッセイ、マンガ(ボーイズラブも)、写真集など、ジャンルを問わず、「LOVE」をテーマにセレクトされた本が並ぶ。
スーツを着込んだ“ホスト書店員”に話しかけてみると、本のあらすじから作者のバックグラウンド、感想までを教えてくれた。こちらの好みの本のジャンルや話を伝えれば、オススメの本を見立ててくれるとのことだ。
「普段から上司に本を読め、読めと言われているので、読書するようになりました」と言うホストは、世間一般がホストに対して抱く“女を騙してカネを巻き上げる”というイメージとはかけ離れている。歌舞伎町のホスト業界に、いったい何が起こっているのだろうか。