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岸博幸のクリエイティブ国富論

ダルビッシュの影に全米大注目の名選手が!
米国NBAでのアジア人旋風を見逃すな

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第175回】 2012年2月24日
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 これから米国のメジャーリーグのキャンプが始まるため、日本ではダルビッシュの動向が報道されることが多いですが、米国のプロスポーツ界では別のアジア人選手に大きな注目が集まっていることをご存知でしょうか。プロバスケットボール(NBA)のニューヨーク・ニックスのジェレミー・リン(Jeremy Lin)という台湾系アメリカ人の選手ですが、この選手の活躍から幾つかの面白いインプリケーションを得ることができます。

“Linsanity”という大旋風

 日本ではジェレミー・リンのことはほとんど報道されていないので、最初に、どうして全米で注目されているのかを簡単に説明しておきます。

 ジェレミー・リンは、米国に移民した台湾人を両親に持つ台湾系米国人です。高校時代にバスケットボール部で大活躍したものの、スポーツ枠で大学にスカウトされなかったため、ハーバード大学の経済学部に自力で入学しました。そして、ハーバード大学のバスケットボール部でも大活躍しましたが、NBAのドラフトで指名されなかったため、ドラフト外で2010年にNBA入りするものの、2チーム続けて短期間で解雇される憂き目に遭いました。

 ちなみに、ジェレミー・リンはポイントガードというバスケでは司令塔のポジションを務めていますが、身長は191センチですのでNBAの中では小さい部類に入ります。また、現在23歳とまだ新人です。

 そのリンを実力派ポイントガード不在で不調に喘ぐニックスが拾い、2月4日の試合で試験的に使ってみたところ大活躍し、以来11戦を9勝2敗(2月22日現在)と大きく勝ち越す原動力となり、わずか3週間でチームの大黒柱となるに至りました。

 出身大学がハーバードというエリート(アイビーリーグ出身のNBAプレイヤーとし9年ぶり、ハーバード出身となると58年ぶり)、普通の体型のアジア人として初めてNBAで活躍(かつて姚明という中国人選手が活躍しましたが、229センチという規格外のサイズでした)といった要素に加え、何よりもバスケの経歴で挫折を繰り返した末の成功というのがアンダードッグ・ストーリー好きな米国人の心をつかみ、今やニューヨークのみならず全米のスポーツファンがリンの活躍に熱狂しているのです。

 その証拠に、現在NBA選手のジャージーの中でもっとも売れているのはリンのジャージーであり、また米国のスポーツ専門誌Sports Illustratedの表紙を2週連続で飾るという、スーパースターしかやったことがない偉業までも成し遂げました。

 また、スポーツメディアもリンの巻き起こしている旋風を表現すべく、記事のタイトルで造語を争っており、もっともポピュラーとなった”Linsanity”(Lin + insanity)以外にも”Lincredible”、”Linderella”と様々な“リン単語”が毎日の記事で踊っている位です。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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