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China Report 中国は今

世界有数の大都市・上海で「住めない家」が続出
中国のマンションは単なる鉄とコンクリートの塊?

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第94回】 2012年2月24日
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故郷の自宅を目の前に
ホテル住まいをする羽目に

 上海の発展のシンボルでもあった高層マンション群、その美しく彩られていた“化粧”が、静かに剥がれつつある。ついに「安かろう、悪かろう」が露呈し、今、「住めない家」が続出しているのだ。

 こんなことがあった。在日華僑のAさんは、この春節を上海の自宅で過ごそうと帰国したのだが、彼は自宅に帰れなかった。理由は「壁の水漏れで住めない」というものだった。Aさんは「故郷に戻ったというのに自宅に戻れない、まるで旅人のようだった」と振り返る。自分の家を目の前に、ホテル住まいを余儀なくされた。

 90年代後半、上海に平米単価5000元で買った60平米の1LDK。築10年が過ぎた今、住まいのあちこちでトラブルが噴出している。水の出が悪いシャワー、溢れるキッチンの排水溝、リビングの壁からも水漏れ…。Aさんは「新しいシステムキッチンに買い換えればマシになるだろう」と思案した。だが、早い段階でそれがまったく無意味であることが判明した。問題は設備ではなく、「壁の中」に存在していたためだ。

企業の社屋から民家まで
水漏れが社会問題に

 建築物の水漏れは上海のいたる所で社会問題と化している。企業もまた、水漏れに悩まされる。浦東の高層ビルに入るB社職員は「うちは最上階でもないのになぜか雨漏りだ」と、天井から水が漏れてくる現状を訴える。

 日中の建築事情に詳しい専門家は「日本ならポリウレタンやビニール製が使われる配管も、中国では2000年代以降も金属製が多く使われた。錆つきなど劣化が早い」とコメントする。だが、水道管は構造壁の中に埋め込まれ、二次交換ができない。上海の建築物の多くはこうした欠陥を抱えているのだが、所有者に打つ手はない。

 他方、上海に訪れた日本人ビジネスマンが必ず尋ねる、こんな質問がある。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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