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韓国で破れた夢、日本で咲かせる
リチウムイオン電池の部材で急成長
ダブル・スコープ社長 崔 元根

週刊ダイヤモンド編集部
【第180回】 2012年3月1日
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ダブル・スコープ社長 崔 元根
Photo by Toshiaki Usami

 キラキラ輝く高級ハイブリッドカー。ドイツの自動車メーカーのBMWが昨年12月、東京モーターショーでお披露目したエコカーの最新シリーズに、ある日本のベンチャー企業が大切に育ててきた部材が使われていることを知る人は少ない。

 ダブル・スコープは、スマートフォンから電気自動車まで幅広く使われている、リチウムイオン電池のセパレーター(分離膜)と呼ばれるフィルムを作る材料メーカーだ。日本に本社、韓国に工場を抱えており、約130人の社員が日々開発から営業まで奔走している。

 じつはこのセパレーターは、これまで大手化学メーカーの独壇場だった。

 なぜなら高い開発力に加えて、工場には10億円単位の設備投資がいる。さらに家電やクルマの安全性を守るため、メーカー側は新しい電池材料の品質テストには長くて2~3年かかり、中小企業がいくらサンプルを納入しても相手にされなかった。

 そんな“ベンチャー泣かせ”の世界に、2005年に殴り込みをかけたのが、韓国出身の崔元根だ。

自信作の電池素材
母国で相手にされず日本企業の出資受ける

 崔はソウル市に生まれ、子どもの頃から起業を夢見てきた。「カバン一つ、プロペラ飛行機で世界中を飛び回るビジネスマンを映画で見てね。それで将来を決めました」。大学では電気を学び、1994年に大手電機メーカーのサムスン電子に入社した。

 仕事は昼夜を問わず、猛烈にこなすタイプ。花形の液晶ディスプレイの事業部で、もっと利益を上げたいと考えるうちに「テレビメーカーより、テレビに使うフィルムメーカーが高収益を上げている」ことに気づいてショックを受ける。

 「未来はデジタル機器ではなく、化学とアナログ技術にある」。そんな直感から、徐々に起業へのアイディアを集めていった。

 2000年、サムスン電子を退社すると旧知の化学メーカーの技術者らと共同で、高機能フィルムの開発に乗り出す。そして03年、リチウムイオン電池に使うセパレーターの生産に成功したのだ。

 ポイントは、生産効率とコスト力に的を絞った、独自の材料と生産工程にあった。「行ける」。05年に起業を決断した。

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