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転職のオモテとウラ

転職市場が過去最高の活況を見せる今、
なぜ「慎重な転職」が求められるのか

鎌田和彦 [アート・クラフト・サイエンス株式会社 代表取締役会長]
【第5回】 2012年2月29日
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人材紹介件数が過去最高に
「浅い転職」がより加速する?

 去る1月25日、「厚生労働省の集計で、2010年度の民間の職業紹介を通じた就職件数は11.1%増の43万人と3年ぶりに増加し、過去最高となった」と報じられました。

 規制緩和によって人材紹介事業が自由化されつつあった時代から社会に受け入れられ大きく発展を遂げるまでの間、この業に携わった者として、ここまでの劇的な変化に喜びを感じます。

 それまで転職はもっぱら友人知人の紹介や新聞雑誌を通じた求人広告に依存していました。何より転職という行為自体が特殊なものであったと言えます。それが今では転職エージェントと呼ばれる仲介事業者(人材紹介会社)が仲立ちとなって、求人企業と求職者をマッチングすることがメジャーな方法論として定着するに至りました。もはや、過去あった求人広告の市場を完全に飲み込もうとする勢いです。

 一方、転職を生業とするプレイヤーが増加の一途をたどることによって、短絡的な「浅い転職」がますます増加するのではないかと懸念せざるを得ません。もちろん、転職エージェントの増加が「浅い転職」を助長する唯一の原因とは思いません。むしろ、転職そのものを肯定する(あるいは“否定しない”)社会的な風潮こそ根本原因かもしれないのですが、それでも人材紹介事業者数とその行動量の増加が転職者の「浅さ」を加速しているのではないかと思えてならないのです。

景気実感とは裏腹に企業の求人意欲は増大
こういう時こそ「転職は慎重に」

 冒頭の報道にもあったように、これだけ景気が悪いと言われているにもかかわらず、不可思議にも人材紹介会社へのオーダーは昨年の震災以降、継続的に回復基調にあります。とりわけインターネット関連、IT関連、また製造業全般にも人材の不足感があるのです。従来から、求人数の増加は景気の先行指標という見方があります。その意味では、あるいは景気の先行きにも明るさが出てきたと言えるかもしれません。

 現時点での求人内容は「猫の手も借りたい」といった逼迫的な人手不足を背景にしていません。むしろ、ピンポイントに必要とされる“組織におけるキーパーツ”が少しずつたくさん必要とされている状態とみられます。つまり、企業にとって欲しい人材がマーケットに存在していないために求人数が高止まりし、そこに少しずつ緩めのマッチングが行われていくことでポジションが埋まっている状態です。

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鎌田和彦 [アート・クラフト・サイエンス株式会社 代表取締役会長]

1965年神奈川県生まれ。88年慶應義塾大学文学部卒。89年(株)インテリジェンスを設立、取締役に。99年に同社代表取締役社長、2008年同社相談役。08年には日本人材派遣協会会長も務める。現在は、不動産投資会社アート・クラフト・サイエンス(株)の代表取締役会長。


転職のオモテとウラ

転職がブームと化していた2000年代半ば、意気揚々と転職していく若者が後を絶たなかった。しかし、彼らの多くが転職によって人生が好転したわけではない。社会人の2人に1人が転職するという「大転職時代」が到来した今なお、なぜ転職はうまくいかないのか。人材紹介事業を展開するインテリジェンスの元代表取締役社長であり、「転職のオモテとウラ」を誰よりも知る鎌田和彦氏が、転職市場が再び活況を迎える今、世の中に溢れる不幸な転職をなくすための処方箋を提案する。

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