生活保護とワープアを行き来する「無間地獄」を就労支援が生む皮肉「努力して就労して、生活保護を脱却し、生活保護以下の暮らしになった」という、救いのない事態は少なくないという(写真はイメージです)

働きたい人がいて、働いてほしい人がいる
何が「就労自立」を阻んでいるのか

 本記事では、生活保護と就労支援に焦点を当てる。

 働くこと自体の多様な価値は、現在の日本では、ほとんど疑われていないだろう。まず、労働の対価として収入が得られる。その収入によって、自分と家族の生活を支えることができる。収入は、自分の労働が生み出した価値に対する評価でもある。

 労働は、人間が社会とつながり、関わる方法の一つだ。ちなみに日本国憲法において、労働はまず基本的人権の一つである。労働の義務は「権利および義務」。労働する権利を行使できなければ、労働の義務は果たしようがないからだ。

 生活保護で暮らしており、就労していない人々からは、「働かずに済んでラッキー」という言葉も稀に聞かれるが、むしろその数百倍、「働きたい」という言葉が語られる。しかし、働こうとしても、働き続けることを妨げる数多くの障壁がある。