学校で「香害」に晒される子供たち、授業は校庭の片隅で写真はイメージです

「香害」とは、香りつき商品の成分で「化学物質過敏症(MCS)(注1)」や「シックハウス症候群(SHS)」などになる人たちが急増している、新しい公害のことだ。今回は、香害により、幼くして人生をズタズタにされた子どもたちに焦点を当てる。校舎に入ることができないので、寒さが厳しい冬も、グラウンドの片隅に机と椅子を持ち出して個別に指導を受けている児童や重症化して外出さえできなくなり、引きこもりを続ける児童がいる。(ジャーナリスト 岡田幹治)

ニオイのする教室に入れず
厳冬も校庭の片隅で学習

 大阪府堺市の市立小学校。2年生のゆう君(仮名、8歳)は、寒さが一段と厳しい今年の冬、グラウンドの片隅で個別指導を受けている。

 綿のトレーナーにセーターやダウンコートを重ね着し、“授業”では、マフラーや手袋、ひざ掛け、使い捨てカイロが必需品だ。

 SHS(注1)なので、校舎内に入ることができない。入ると、壁のペンキや児童・教師から流れ出る洗剤・柔軟剤の成分に反応して、頭痛や足のしびれ、鼻血、発熱などの症状が出る。夏は夏で、暑さに耐えながらの外での授業だ。

(注1)MCSは、(多くの人が何も感じないほど)微量の化学物質にさらされると、頭痛・思考力の低下・目のかすみ・息苦しさなどの症状が出る病気。重症になると日常生活も仕事も続けられなくなる。SHSは、建物内の空気汚染が原因でMCSと似た症状になる病気。その建物を離れると、症状は和らぐ。