ドラッカーは世界で初めて事業を正面から取り上げた

世界の経営者たちと同じように
ドラッカーから事業を学ぼう

　それゆえ、これら一連のマネジメント著作は、半世紀以上にわたって世界中の経営者たちに読み継がれてきた。

　プロクター・アンド・ギャンブル（Ｐ＆Ｇ）のＡ・Ｇ・ラフリー、ＧＥのジャック・ウェルチ、ヒューレット・パッカード（ＨＰ）のデビッド・パッカード、アルコアのピーター・オニール、ソニーの盛田昭夫、インテルのアンディ・グローブ、マイクロソフトのビル・ゲイツ、グーグルのエリック・シュミットと枚挙にいとまがない。

　マーケティング理論の大家、フィリップ・コトラー教授は「わたしがマーケティングの父なら、ドラッカーはマーケティングの祖父だ」と言い、『ビジョナリー・カンパニー』のジム・コリンズらビジネス書のベストセラー作家たちもドラッカーを師と仰いでいた。

　ドラッカーが提示した事業マネジメントのキーワードは、かの有名な「顧客の創造」を始め、マーケティング、イノベーション、ライフサイクル、コスト管理、事業機会の発見など多岐にわたる。およそビジネスに必要なものは、ほとんど示してくれているのだ。

『実践するドラッカー【事業編】』では、これらマネジメントの著作群の中から、テーマに合わせて珠玉の名文を抜粋、解説を加え、日常の事業に生かせるように工夫している。次回より、本書に収載したワークシートなどを用いつつ、事業マネジメントの勘所に迫っていく。

上田惇生（うえだ・あつお）
1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、ものつくり大学教授を経て、現在同大学名誉教授。ピーター・Ｆ・ドラッカー教授の主要著作のすべてを翻訳。もっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。『プロフェッショナルの条件』ほかを編集。著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー時代を超える言葉』などがある。ドラッカー学会初代代表。

＊この連載は、3/12～3/16まで、5日連続で更新します。

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