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田中秀征 政権ウォッチ

「既得権者が身を切らない」のが野田行革か!?
国家公務員新規採用4割削減策の問題点

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第124回】 2012年3月8日
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国家公務員採用削減は
学生への痛みの押しつけ

 野田佳彦首相が本部長を務める政府の行革実行本部は6日、13年度の国家公務員の新規採用を09年度比で4割超削減する方針を決めた。09年の採用数が8511人であったのに対し、13年度は5100人となる見込みだ。

 それで国家行政に支障がないなら歓迎すべきこと。その分総人件費が浮くのだから反対することはない。

 ただ、いくつか問題がある。

(1)行政分野を問わず一律に削減するのか。

 時代状況に対応して拡大する行政分野もあるし縮小しなければならない分野もある。

 専門職や基礎研究分野まで削るのか。それが明らかではない。

(2)厳しさが増している新卒学生の就職戦線にかなりの影響を与えることが避けられない。

 また国家公務員の年齢構成が逆ピラミッド化していくが、それでも将来的に行政の効率性を維持できるのか。

(3)新規採用数をほぼ半減するとかなり思い切った削減に見えるが、全体数からみると、ほんのわずかなもの。現職公務員は今のままでよいのか。「官のリストラ」は「民のリストラ」に学ぶべきだ。

 一見してこの案はいかにも官僚の発想によるものだ。

 これでは「身を切る」のは学生たち。現役が痛みを避けて、学生に痛みを押しつけることになる。要するに、消費税増税を進める官僚が痛みを引き受け、身を切ったことにはならない。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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