AIには種類がある!?
「大人のAI」と「子どものAI」とは?

 さて、人が一から教え込んで、ビッグデータを解析したり、既存業務の高速化・省力化を念頭に開発されたAIのことを「大人のAI」と呼びます。

 この「大人のAI」は、今の現実社会で開発依頼が非常に多い人気のAIです。

 税理士を例に取れば、「大人のAI」は、法律の範囲内で、かつ、クライアントのことを信用して行う性善説の業務を得意としています。

 一方で、時にはクライアントのことを疑わなければならない性悪説の仕事を「大人のAI」が行うのは、世間が思っているほど簡単な話ではありません。

 なぜなら、真実は1つですが、嘘は法律の定めを超えて無数にあるからです。
 たとえば、公認会計士の独占業務は監査業務ですが、BS/PLからは読み取れない(粉飾決算)を見抜く能力が要求されます。

 こうした業務を人が一から教え込んで開発をしようとすると、パラメータ(AIに対する指示事項)の微調整や、膨大な数の例外事項までプログラミングしなければならず、まったくもって非現実的な話になります。

 結果、「AIによる士業失業」は人が思っているほど発生しない、と訴えるAIの開発者や学者は少なくありません。
 ただし、これはあくまでも、AIが自力学習をしない「大人のAI」のケースです。

 一方で、AIにはもう1つの種類があります。
 AIには大まかな目的、ゴールだけを与えて、解決方法はAI自身に模索させる「子どものAI」です。
 仮に、「子どものAI」の開発が進めば、もっと広範囲で「AIによる士業失業」は発生することになるでしょう。

「そんなバカな」と思うかもしれませんが、「子どものAI」なら、性悪説の筆頭職業であり、嘘を暴くのが仕事の弁護士になるのも不可能ではないと個人的には考えます。
 いえ、弁護士どころか、すでに「AI政治家」の開発も進行しています。

 こうした「子どものAI」は、大まかな目的、ゴールだけを与えて、「ディープラーニング(深層学習)」という技術で自力学習をします。
 そして、これからのキーワードは、この「子どものAI」であることを認識していただければと思います。