日本人の「思いやり」が世界で頻発する国際紛争を救う!

子どもに身につけさせたい徳目に
表れる各国の文化的特徴

 1991年のソ連崩壊によって冷戦体制が終焉し、国際平和が訪れるかと期待されたが、その後も民族対立などで国際紛争は続いている。社会主義と資本主義のイデオロギー対立で説明できなくなったこうした国際紛争を理解するため、「文明の対立」の概念が登場した。米国の政治学者ハンティントンの著作「文明の衝突」が代表例だ。

 欧米、ロシア、中国、アジア、イスラム圏、アフリカ諸国、そして日本が織り成す国際関係を説明するため、それぞれの文化圏に特有な考え方・行動様式を理解することが重要なことは言うまでもない。連載の最後となる今回は、私が注目している国際意識調査の結果から、世界の文化圏がどのように分類できるかを紹介しよう。

 どのような「徳目」を、特に子どもに教えたいかという設問が、国際比較調査で取り上げられることが多い。この結果から、世界各国の文化的特徴を探ってみよう。

 どの国でも、子どもはまだ社会性が身についていないので、友達同士で喧嘩やいじめなどのトラブルが起こりがちだ。親は、こうした点を心配しながら、子どもの将来にも配慮して、何が重視すべき精神態度かを子どもに教える。調査対象者が、身につけるべき社会性に特に意を用いて回答することから、自分が重視する徳目ではなく、子どもに教えたい徳目で国民性を探るのは、なかなか賢い方法だと考えられる。