経営×経理

会社に縛られない
「出世」の考え方

 出世とは、一般的に会社内での昇進昇格を指しています。本稿をお読みの方の中には、所属している経理部にて課長、部長職やひいては経営陣を目指している方もおられるでしょう。

 こうした地位に上り詰める方法はもちろん様々でしょうが、人事考課制度に沿った資格取得や成果を積み上げることのほか、中には上司と良好な関係を築きながら、時に社内政治に敏感になるなど、その会社特有の文化に根付いたスキルが求められることもあります。

 これは筆者の持論ですが、社内でスタンダードな出世を目指すのは、多大なエネルギーが必要であると共に、その会社でしか通用しない人材にもなりかねので、リスクが高いこともあり得るのです。

 昨今は、少子高齢化による収益減少が生じている業種は多数あり、利益確保のために商品・サービスの値上げに動いたり、マーケットの変更に着手したりと、新たな経営手法が必要になっている企業が少なくありません。

 加えて会社存続のためのM&Aや、人手不足により外国人を雇うなど、収入構造のみならず組織全体の改編を選択するところも増えてきています。ところが企業の中には、柔軟な対応に目を向けないために、衰退への道を辿るケースもあるのです。

 あなたが勤務している企業も時代の変化に伴い、何かしらの影響を受けているはずですが、経営陣は適切な策を講じているでしょうか? もしも、そこまで解らないのであれば、上司の動きに注目しましょう。上司が経営陣の意向やその理由について経理部内で浸透させ、部員の意見や質問も吸い上げて、経営陣に伝えている様子があるかどうかなど、雰囲気から何となくつかめるでしょう。

 入社間もないのであれば、上司・先輩の指導を受けながら、しっかりと経理人としての基礎を学ぶことも大切です。しかし、ある程度年数が経過して、キャリアを積んだのであれば、自身の目で自社を客観視し、あなたの今後の未来を見据えることが肝要です。

 自社のシステムに沿った出世道に焦点を絞ることのみならず、広い視野を持って様々な変動に適応できる人材を目指すことのほうが、未来に続く出世道だと考えられます。

 たとえば、簿記やFPなどの資格取得をしてテクニカルスキルを磨けば、経理の仕事に活かすことができます。また、あなたがこれまで培ってきた経理スキルやプライベートな活動を通じて得た人脈や、学生時代に得た知識を活かして起業を目指したりするのだって一つの手です。あるいは、社内に残るにしても、あなたが考えた改善策を経営陣に提起できるような、「モノが言える人材」を目指したりなど、柔軟な観点で未来像を描いてはいかがでしょうか。

 幸い経理部は、会社の経営状況を肌で感じ取れる部署です。つまり社内の変動に一早く気づける環境なので、個々の身の振り方を早期に検討できると言えます。また、繰り返しになりますが、実務を通じて分析力や提案力など、様々なスキルが身につく場です。あなたの能力を全面的に表出させて、遠慮することなく活躍の場を探ることをお勧めしたいのです。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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