経営×経理

経理の管理職の出世道
部下の育成を後押しする方法

 後半では、経理部の管理職がどのようなスタンスで部下の出世についての支援策を講ずればいいのか、考えていきます。

 さきほど、いわゆる「会社人間」に偏るリスクを述べましたが、本音は管理職のあなたも自社のみに焦点を絞った出世道を思い描くのには、リスクを感じているのではないでしょうか。

 しかし、会社はいくら成熟期を迎えていても永続が使命です。あなたは、社内政治も無視できず、経営陣の指針に対して疑問があってもなかなか言えない立場にありますが、権限はあるはずですし、貴重な人材リソースを活用して、自社の繁栄と部下の育成に結びつけるのもマネージャーとしての使命の一つです。

 昨今は出世を望まない若者も少なくありませんが、たとえ、あなたの部下がそれに当てはまるにしても、面談などの場で「仕事を通してどんなところにやりがいを持っているか?」「達成感を覚えたのはどの場面か?」など、質問の仕方を工夫してみましょう。本人すら気づかない適性や能力を見極めて、部下に次のステップの任務を命ずるなど、成長の後押しをすることが求められるでしょう。

 たとえば、部下が「集計した数値が一致した時に達成感を覚える」と答えたのであれば、仕事の正確性にこだわるタイプなのでしょうから、「経理部内でミスを防ぐ方法をまとめて全員にレポートしてくれないか?」と指示してみます。実行に移せば、その方は全体が底上げすることに喜びを見出し、リーダーシップを執ることに興味を持つかもしれません。ひいては自ずと次のステップを踏み出す期待もできます。

 また、部下の中には高度な教育を受けた人材やあなたよりも優れた適性を持ち合わせている方がいるものです。そこに焦点を当てて、経理部内の業務フローや、社内全体の仕組みについての改善案を提案・実行させたり、新しい発想での経理の役目を模索させたり、あなたがこれまで抱えていた経理の常識枠を超えた取り組みの場を与えるなど、権限者であればこその柔軟な指示、機会の提供が可能なはずです。

 あなたが謙虚な姿勢で今後の担い手となる部下がどのようにステージ上で活躍すれば、自社の繁栄に繋がるのかを、切磋琢磨して情報収集をしながら研究したり、経営陣に掛け合ったり、部下の声を傾聴しながら、具体的な行動を執ることで、マネージャー職のあなたにとっても会社に縛られない次の“出世道”が見えてくるのです。

(ビジネス作家・経理環境改善コンサルタント 田村夕美子)

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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