Photo by Tomomi Matsuno

東広島市西条に本社を構える大創産業を創業した矢野博丈会長は、バラエティグッズの短剣を携えて取材に登場した。来客には次々といたずらを仕掛け、客も派手にリアクション。従業員を見かければ、絡む、絡む。ふいに取り出したペンライトで照らす先には「ちょっといいですか」の文字が浮く。今月の主筆は、大企業の経営者にはなかなか見られないユニークな逸材に迫る。

ここまで大きな会社になるとは予想できなかった

 100円ショップのダイソーは今、国内3150店舗、海外にも26の国と地域に1900店舗を構える。売上高は4200億円(2017年3月現在)となった。まさか、こんなに大きくなるとは思ってもみなかった。それはまぎれもない本心である。

 100円均一の商売を始めるとき、さらにそれに至るまでの数々の挫折の中で、自分の事業が大きくなること自体は、まるで想像していなかった。その証拠に、これまで私は、仕事をしている自分の写真をほとんど残していない。

 写真というのは、大きくなると思っているから記念に撮るものなのだ。人は赤ちゃんの写真は撮るけれど、ガンで入院した90歳のじいさんの写真など撮らない。マスコミの取材を受けたりするとよく、「昔の写真はないんですか」と聞かれるのだが、潰れると思ってやっているのに写真なんか撮るわけがない。

 実際、10年くらい前まで、本気で「こんな会社はすぐに潰れる」と思ってきた。