インターネットは便利であるが「安全」とは言いがたい。スマートフォン向け無料サービスの急拡大に伴い、危険性は高まるばかり。利用者としての心得も問われている。
昨秋、写真の画像を匿名のブログに掲載していた50代の女性に「自宅の住所がわかってしまう」と知人から連絡があった。
あわてた女性が画像を見返しても、心当たりがない。iPhoneで室内を撮影しただけなのに……。
じつはここに落とし穴があった。iPhoneにはGPS機能が付いており、画像には緯度と経度の情報が組み込まれている。これを専用ソフトで解析すれば、位置が特定できる状況になっていた。
スマートフォンの利用には、これまでにない注意が求められる。GPS機能のON、OFFもそうだが、なによりアプリをダウンロードする際の「利用規約」に目を凝らしておくことだ。
たとえばアンドロイドマーケット上のアプリといえば「アクセス許可」の項目を読むことが大切。
なにせ「位置情報」では現在地が特定され、「ブラウザとブックマークの履歴」では趣味嗜好がばれる。また、「端末のステータスとIDの読み取り」によって自分の電話番号だけでなく通話先も提供。おまけに「完全なインターネットアクセス」では端末を外部から自由に扱う権限まで与えてしまう。
つまり、ひとたび同意してしまえば、個人情報が丸裸にされてしまい、端末まで奪われているに等しい状態になる。
サイバーディフェンス研究所の名和利男上席分析官は「個人情報を悪用することが可能な環境をつくっているアプリが多数あり、危険性を認識すべき」と言う。
防衛策としてはアプリ開発者を「検索」することだ。少しでも不安を感じるようなら、そのアプリはダウンロードすべきでない。
そもそも、スマホは小型パソコンと同じ。ネットに触れる機会が少なかった人にとっては、世界につながる「大海」に等しいことを認識しなければいけない。しかも、これまでの携帯電話なら通信事業者が守ってくれていたが、ネットの世界ではそれもない。
また、スマホを通してネット上に写真や画像を保管する場合には、その設定条件をきちんと確認しておくことが必要。「公開」「非公開」を誤れば、全世界の人に自分の情報をさらすことになる。