強者の余裕がなせる業か、単なる強がりか──。今春の就職活動において、学生の「銀行離れ」が喧伝されて久しいが、世間の「銀行凋落」ムードに対して、メガバンクグループは強気の姿勢を見せる。
就活生の「銀行離れ」の背景にあるのは、昨秋に3メガバンクグループが相次いで打ち出した、ITの活用などによる3社合計3.2万人分の業務量削減策だ。
日本銀行の異次元金融緩和による超低金利の状況が長期化し、「預金を集め、融資や有価証券の運用に回して利ざやを稼ぐ」という銀行のビジネスモデルは崩壊。そこで、コストを削って利益を絞り出す苦肉の策に打って出た。
業務量削減によって浮く「3.2万人」は、バブル世代の大量退職と、事務職員の配置転換によって“消化”するため、いわゆるリストラは実施しないと3メガは口をそろえた。しかし、3月から始まった就活イベントでは、学生から「リストラされそうな雰囲気を感じますか」といった質問が相次いでいるという。その結果、就職人気ランキング上位の常連だった3メガは今年、順位が急落した。
ただ、冒頭の通り、メガバンクの人事経験者たちからは余裕の発言が飛び出す。
「テクノロジー企業から攻め込まれ、銀行自体もITを活用して生まれ変わろうというこの激動の時代に、安定志向の人は要らない」
「志望度の低い学生が減れば、採用コストは低くなる」