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社会起業家になりたいと思ったら読む本
【第4回】 2012年3月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
井上英之

なぜ、リコーは
インドの「社会起業」と手を組んだのか?

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イノベーションはどんな企業にとっても必須課題だ。
そのパートナーとして、いま「社会起業」が注目され始めている。
連載第4回では、社会起業と連携することが、なぜ企業の内外にイノベーションを引き起こすのか、を紹介したい(『社会起業家になりたいと思ったら読む本』では1章の【5:企業とできること】に掲載)。

企業には、世の中のイノベーションをリードする役割がある

 どんな製品にもどんなサービスにも寿命がある。

 新しいものを生み出さない限り企業も市場も持続していくことができない。「イノベーション」は、企業にとっても生存しつづけるために必須であると同時に、イノベーションを引き起こす人材も必要だ。起業家精神が必要なのは、スタートアップベンチャーだけではない。イントラプレナー(社内起業家)は、企業の革新、そして生存の生命線である。

 高齢化や環境問題……変化し続ける社会を反映して、マーケットも変化する。市場も「社会」の一部である。地域に潜む課題は解決を待つ「ニーズ」だし、社会的な意義は、社員や関係する人々をやる気にもさせる。ビジネスに必要な「イノベーション」の火種と「社会」は切っても切り離せない。企業にとって社会へのアクセスは、必須科目となる。

 近年、BOP(Base of Pyramid)とよばれる市場を見てみよう。世界で40億人いるといわれる、低所得階層の人たち。彼らを援助の対象とはせずに、成長しうる巨大な市場として捉え、ユーザーの生活を向上させるビジネスを展開し、仕事も提供するなど、現地の課題解決 もはかる。

 この背景には、手間がかかろうとも粘り強く、ニーズのある人たちにアクセスし、需要を顕在化させビジネスとして「やってみせている」社会起業家たちの活躍がある。 

 たとえば、インドのドリシテ社(Drishtee)は、インドの辺境の地まで生活用品や医療、金融、行政サービスを、適切な価格で届けることを実現した(詳細は、同じく監修した『辺境から世界を変える』の第1章を参照のこと)。

 インドの地方では、流通などのインフラが整わないため、地方のほうが都市部よりも生活コストが高くなる。これを、ITを活用し、正確な需要をつかみながら、品目別に流れていた流通を統合した。何よりも、村々に眠る“起業家”を発掘しトレーニングを行い、そして「任せる」ことで村人の成長と自発的な工夫を促進した。

 このドリシテに、日本のリコー社が提携してさまざまな試みを始めている。インドの現地に入り込み、現地の人たちとともに地域の課題やニーズにマッチした、新たな製品・サービスを生み出す。

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井上英之 (いのうえ・ひでゆき)

1971年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、ジョージワシントン大学大学院に進学(パブリックマネジメント専攻)。ワシントンDC市政府、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、NPO法人ETIC.に参画。
2001年より日本初のソーシャルベンチャー向けビジネスコンテスト「STYLE」を開催するなど、国内の社会起業家育成・輩出に取り組む。2005年、北米を中心に展開する社会起業向け投資機関「ソーシャルベンチャー・パートナーズ(SVP)」東京版を設立。2009年、世界経済フォーラム(ダボス会議)「Young Global Leader」に選出。2010年鳩山政権時、内閣府「新しい公共」円卓会議委員。2011年より、東京都文京区新しい公共の担い手専門家会議委員、など。現在、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特別招聘准教授。2012年秋より、日本財団国際フェローとして、米国スタンフォード大学客員研究員として滞在中。


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