また、連邦行政裁判所は「この判断は自治体にディーゼル車の走行禁止などの規制を強制あるいは推奨するものではない」とし、同時に「すべての自治体は連邦大気基準のクリアに向けた努力を怠ってはいけない」とクギを刺している。これもバランスである。

 ドイツ国内には、ユーロ5規制までのディーゼル乗用車が約1000万台保有されており、全乗用車保有台数の約20%に当たる。ユーロ4規制対応以前の車両はその中の40%程度を占める。その運用が地域によって規制された場合、ディーゼル車ユーザーに不利益をもたらす。

ドイツは欧州の中でも
クリーンディーゼルの開発で先頭

イラスト:安田雅章

 何より、ドイツは欧州の中でもクリーンディーゼルの開発で先頭を走ってきた。現在のユーロ6ステージ2規制は、ユーロ5に比べると極めて厳しい内容だが、技術的にこれを克服している。ドイツの環境団体の中には、日本で国や自治体を相手に争われたディーゼル排出ガス訴訟で国と自治体が敗訴した日本の例を「先進的な判断」と称賛する見方がある。

 フランスのマクロン大統領は「将来的にディーゼル車(ハイブリッドではないディーゼル車)の販売禁止を検討している」と発言し、これに英国が賛同した例がある。だが、フランスはその後、具体的なディーゼル車規制の話は出ていない。ルノーもプジョー/シトロエンもディーゼル車の販売比率が高いからだ。

 一方、英国には英国資本の自動車産業がなく、国内の自動車工場は日系メーカーか、インド(ジャガー・ランドローバー)か、中国(MG/ロータス・カーズ)資本である。そのため、ディーゼル車禁止がイギリス経済に与える影響は「大きくない」といわれている。

 今回のドイツ連邦行政裁判所の判断は、誕生したばかりのキリスト教民主社会同盟中心の連立政権にとっても、各自治体にとっても、早急な対応を迫られる問題となりそうだ。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)