若手社員の「自分がやりたい仕事と違う!」が起きる理由新人は仕事の現場を直接見ていないにもかかわらず、就活の面接で必要以上に「やりたい仕事」を意識させられ、その仕事像を膨れ上がらせる。ところが就職してみると、「やりたい仕事をやらせてもらえない」といった不満が出てくるのだ(写真はイメージです)

 経営者や管理職の方々と話をすると、必ずといっていいほど話題にのぼるのは、最近の若手は不満が多くて、どう対処したらいいのかわからず、いつも頭を悩ませているということだ。

 だが、困っているのは経営者や管理職ばかりではない。当の若手自身も、不満をどう解消していったらいいのかわからず、悩み苦しんでいるのである。

 今年も新人を職場に迎える時期になったが、迎える側も迎えられる側も、ぜひ「やりたい仕事」病について知ってほしいと思う。

最近の若手社員は
なぜ不満が多いのか

「若い人たちはどうも不満が多くてね、なかなか定着してくれないんですよ。仕事のできない若手をゼロから育てて、ようやく戦力になり始めたと思ったら、突然辞めてしまう……。そんなことの繰り返し。本当にどうしたらいいのか対応に困ってるんですよね」

 中規模の商事会社を経営するA社長は、最近の若手指導に関してこう嘆いている。

 そこで私はどんな不満が多いのかを尋ねてみた。

「『自分がやりたかったのはこういう仕事じゃない』ということですね。中には『私はこんな仕事をしたくて就職したわけじゃありません』というようにはっきり言う人もいて、ほんと参りますよ」

 これは、まさに私が「やりたい仕事」病と呼んでいる症状だ。さらにA社長の嘆きは続く。

「誰だって不満があるのはわかりますし、できることなら不満を解消できるように職場環境を変えてやりたいとは思っています。でも『やっぱり自分が本当にやりたいって思えるような仕事を探したい』『まだ若いし、仕事を変えるなら今のうちだって思うので……』などと言われると、もう何も言えないですね」