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社会起業家になりたいと思ったら読む本
【第5回】 2012年3月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
井上英之

いま、メディアにはもっと大きな役割がある!

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「社会起業」の記事は、事件などのニュースに比べ、報道されにくい。一方、世界では、問題を”あばく”だけでなく、”解決”への動きにスポットをあてた、プラットフォーム・サイトが登場するなど、メディアにも変化の兆しも見える。
連載第5回では、「問題の報道」だけでなく、「問題解決の報道」の役割を担うために、メディアには何ができるのか、紹介したい(『社会起業家になりたいと思ったら読む本』では1章の【7:メディアとできること】に掲載)。

いま、メディアにはもっと大きな役割がある!

 「ニュー・ヒーローズ(The New Heroes)」(2005年、PBS・全米公共テレビ放送)というアメリカのTV番組がある。社会起業家を紹介する番組なのだが、オープニングがめちゃくちゃカッコいい。

 「この世界には、まだまだ貧困、環境、教育、差別などさまざまな問題がある。それらに果敢に挑戦する知られざる新しいヒーローたちがいる。まだ多くの人が知らない、その彼らの姿を追っていきたいと思う」

と、俳優ロバート・レッドフォードの渋い声のガイドで始まる。

 オープニングもさることながら、この番組のしびれる点は、全米をカバーするTV局が当時、まだそのコンセプトも一般に知られていなかった頃に、社会起業家をメインの題材に選んだことにある(それまで社会起業活動の広報や支援を担っていたのは、主にインターネットなどのニュー・メディアだった)。

 日本でも、2008年頃からNHKが「チェンジメーカー」という番組を企画。放送時間は深夜だったが、若い世代に、カジュアルにそして等身大の目線で、世界の、そして日本の社会起業家たちの物語を紹介した。

 私も、企画やコメンテーターとして参画したが、この番組を見た視聴者が、若者たちに音楽会社を立ち上げてもらうことで変化を生み出す、NPO法人「ブラストビート」を創設するなど、一定以上の反響があった。

 その後も、NHK-BSで「ミッション」という番組に引き継がれ、慶応SFCでの公開授業で、ケニアで活動する社会起業家と若者たちが対話し、学生たちから新しいアイデアを提案、それを実行に移していくプロセスなどを、番組で紹介していった。また、他にも、「難問解決! ご近所の底力」(NHK)など、住民たちによる、地域の課題解決とその手法のスケールアウト(他地域への展開)を意図した、非常におもしろい番組も登場した。

メディアは、課題解決への「アーカイブ」になろう

 『社会起業家になりたいと思ったら読む本』でも書かれているように、メディアは、社会の課題や問題をただ伝えるだけではなく、それ以上の役割を果たせるのではないか? 事実の報道は重要だが、「問題の報道」だけではなく、「問題解決の報道」もすることで、新たな火種や希望を、この世の中に流通させることができるのではないか? 

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井上英之 (いのうえ・ひでゆき)

1971年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、ジョージワシントン大学大学院に進学(パブリックマネジメント専攻)。ワシントンDC市政府、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、NPO法人ETIC.に参画。
2001年より日本初のソーシャルベンチャー向けビジネスコンテスト「STYLE」を開催するなど、国内の社会起業家育成・輩出に取り組む。2005年、北米を中心に展開する社会起業向け投資機関「ソーシャルベンチャー・パートナーズ(SVP)」東京版を設立。2009年、世界経済フォーラム(ダボス会議)「Young Global Leader」に選出。2010年鳩山政権時、内閣府「新しい公共」円卓会議委員。2011年より、東京都文京区新しい公共の担い手専門家会議委員、など。現在、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特別招聘准教授。2012年秋より、日本財団国際フェローとして、米国スタンフォード大学客員研究員として滞在中。


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