「財務基盤がさほど盤石でない」(天野氏)中での矢継ぎ早の投資決定に、「ある程度成果が出るのを待つべき」と、古河電工や、同じく大株主である新日鐵住金の社外監査役はたびたび進言してきた。

 今回の人事には、新日鐵住金からの社外監査役も入っていない。最後のブレーキ役を担う社外役員に信頼の置ける人物がいなくなるばかりか、会長、社長の両トップが代表取締役として残る──。古河電工にしてみれば、到底受け入れられる人事ではなかった。

 むろん、古河電工はUACJから人事について事前に提示されていた。その時点でUACJには反対の意向を伝えており、2月末の発表前日には古河電工から申し出てUACJと面談の機会も持っている。しかし翌日、独立性の確立にこだわるUACJは、“原案”のまま人事を発表した。

「もっときちんとコミュニケーションを取っておくべきだった」と、UACJ社内にもさすがに反省の色が見えるという。

 本件には古河電工のみならず、新日鐵住金もが顔をしかめている。その上ここにきて、「物言う株主」として知られる旧村上ファンド出身者が設立したファンドがUACJ株式を買い増し、第2位株主についた。経営の混乱が長引けば厳しい追及は避けられそうにない。

 早期の事態収束には、現会長、現社長の代表権返上や社外役員の変更など、人事の大幅修正が不可避な情勢だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)