現地ハイテク企業逆襲も

 セコムの中国事業にはリスクもある。その筆頭が不動産バブルの崩壊だ。売り込み先が新築マンション中心なので、開発が中止になれば影響は甚大だ。

 中国の現地企業が強力な競合になる可能性も見逃せない。セコムの脅威になり得る企業は複数あるが、その代表が顔認証ソフトウエアを提供するメグビーである。

 メグビーの強みは扱うデータの量だ。なんと中国の警察が、犯罪防止や犯人の追跡にメグビーの画像解析技術を利用しているのだ。中国アリババ集団のスマホ決済システム、アリペイや中国配車サービス大手、滴滴出行もメグビーの顔認証技術を使っている。

 現時点で、中国のハイテク企業には手足となる警備員がいない。だが、プライバシーにさほど配慮せず莫大な情報を扱える中国は、画像を解析する人工知能(AI)の開発には絶好の場所だ。高性能AIを開発した企業が警備会社と組めば、侮れない相手になる。

 国内2位の綜合警備保障(ALSOK)や同社と組むNECも中国など海外市場に熱い視線を送る。反日感情もある中国でセコムが信頼を得てシェアを伸ばせれば、セキュリティー事業を成長分野に位置付ける日系企業にとっても朗報となる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)