個人情報漏洩事件の発生が後を絶たない。最近でも米国のフェイスブックで、5000万人の個人情報が不正利用された事件が発覚した。官民を挙げて個人情報管理の徹底に拍車がかかっているのだが、先日、トンデモない事態に直面した。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

行き過ぎた氏名と生年月日確認は
本当に必要なのか?

患者を取り違えないように、個人情報が漏洩しないようにと策定されたであろう顧客対応マニュアルでも、行き過ぎれば顧客を不快にさせる

 花粉症の症状があまりにもひどいので、少し空いた時間に、取引先企業が入居しているビルにあるクリニックで診てもらおうと思い立った。問い合わせるとほとんど待たずに診察してもらえるというので、健康保険証を受付箱に入れて、診察をお願いした。「お名前をお呼びしますので、お待ちください」と言われて数分後、受付担当者から名前を呼ばれた。

 フルネームで名前を呼ばれて受付カウンターに出向くと、受付担当者から「お名前と生年月日をお願いします」と言われ、問診表を受け取った。その時は、何も気にならずに答えたが、それからが問題だった。

 問診表に名前や生年月日をはじめ既往症などの質問事項の答えを記入し、受付に提出しようとすると、再び「お名前と生年月日をお願いします」と言われる。

「問診表に書いてあります」という言葉を飲み込んで、再び名前と生年月日を答えてから、受け取ってもらった。数分後、再び名前を呼ばれたので受付に行くと、またまた「お名前と生年月日をお願いします」と問われて答えたところ、今度は診察室番号の書いてある診察ファイルを渡された。

 その後、診察の順番が来たことを知らせる看護師さんから名前を呼ばれて診察室の前に行った時にも「お名前と生年月日をお願いします」、医師の診察を受ける前には医師から「お名前と生年月日をお願いします」、診療明細を受け取る窓口、そして、会計の窓口でもそれぞれ「お名前と生年月日をお願いします」――。

 1時間足らずの間に、「お名前と生年月日をお願いします」と質問され、回答することを計7回繰り返すことになった。もちろん、私だけではない。気にし始めると、あちこちで「お名前と生年月日をお願いします」という質問とその回答のやりとりがされている。