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西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門

同じ収入でも現役世代の負担が重い
健康保険料と窓口負担の現状と問題点

後期高齢者医療制度は高齢者差別にあらず(2)

西沢和彦 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]
【第9回】 2012年2月28日
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収入が同じ場合、後期高齢者よりも現役世代の方が健康保険料の負担は重い。この不公平の是正は世代間の公平性を確保するためにも必要なのだが、「社会保障・税一体改革大綱」は、負担をどう分かち合っていくかに関して、真正面から向き合っていない。

 前回に引き続き、今回も後期高齢者医療制度について検証する。最初に後期高齢者医療制度について述べた前回の議論を振り返ろう。

1. 一段と高齢化が進行するもと、現役世代が高齢者医療の費用を支えていける仕組みを再構築することが、高齢者医療制度改革の核心である。

2. 現役世代への依存を軽減するためには、高齢者にも負担能力に応じて保険料や窓口負担を求めることや、給付効率化などの改革が、たとえ不人気でも不可欠である。

3. 政府・与党は、高齢者の側が差別されているという認識を起点に、後期高齢者医療制度の廃止に向けた見直し法案を、今通常国会に提出する予定である。しかし、見直されるべきは、政府・与党の認識である。

 こうした議論を受け、今回は、実際の保険料負担と窓口負担の仕組みと現状、および、現在進められている議論とその問題点を整理しよう。

同じ収入でも現役世代の
保険料負担が重い理由

 わが国の国民医療費は、2009年度現在36兆円であり、健康保険料、公費、および、窓口負担の3つで構成される。それぞれ、17.5兆円、13.5兆円、5.0兆円である。このうち、家計の直接的な負担は、健康保険料と窓口負担の2つであり、年齢によって水準が異なる。

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西沢和彦 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]

ニシザワ カズヒコ/1989年3月一橋大学社会学部卒業、同年年4月 三井銀行入行、98年より現職。2002年年3月法政大学修士(経済学)。主な著書に『税と社会保障の抜本改革』(日本経済新聞出版社、11年6月)『年金制度は誰のものか』(日本経済新聞出版社08年4月、第51回日経・経済図書文化賞) など。(現在の公職)社会保障審議会日本年金機構評価部会委員、社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会委員。


西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門

増加する社会保障費の財源確保に向けて、政府は消費税引き上げの議論を本格化させている。だが、社会保障をめぐる議論は複雑かつ専門的で、国民は改革の是非を判断できない状態に置かれている。社会保障の専門家として名高い日本総研の西沢和彦主任研究員が、年金をはじめとする社会保障制度の仕組みと問題点を、できるだけ平易に解説し、ひとりひとりがこの問題を考える材料を提供する。

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