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西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門

健康保険料・「総報酬割の導入」の
背後に隠された実質増税の思惑

西沢和彦 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]
【第10回】 2012年3月13日
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2月17日に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」には、健康保険制度に関して聞き慣れない「総報酬割の導入」という文言が盛り込まれている。この言葉の背後には、国民負担の増加=実質増税の意図が隠されている。

 「社会保障・税一体改革大綱」(2012年2月17日閣議決定)に基づき、政府・与党のスケジュール通りであれば、今月中にも消費増税関連法案が提出される。その「大綱」には、健康保険制度に関して聞き慣れない「総報酬割の導入」という文言が盛り込まれている。

 もし、総報酬割が導入されるとどうなるか。組合健保および共済組合加入者にとって、実は復興増税における所得税の増税規模(年3000億円、25年計7.5兆円)をも上回る健康保険料の負担増となる可能性がある。

 復興増税のスキーム策定の際には、収入階級別の家計の負担額が試算された上、毎年度の負担平準化を図るため、増税期間が当初案の10年から25年に延長されるなど、与野党の政治家や国民の関心も高く、具体的な議論が展開された。

 それに対し、「総報酬割の導入」に関しては、それを上回る規模と目されながら、国民に分かりやすい議論が展開されているようには見受けられない。健康保険料も、国民負担である点において税と同じである。にもかかわらず、今回の進め方は国民に真の狙いを開示しない、隠れた実質増税とみなされても仕方がない。

健康保険制度における
総報酬割とは何か

 そもそも「総報酬割」とは何だろうか。まずは、健康保険制度の概要と高齢者医療制度について述べた第8回の解説をおさらいしておこう。

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西沢和彦 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]

ニシザワ カズヒコ/1989年3月一橋大学社会学部卒業、同年年4月 三井銀行入行、98年より現職。2002年年3月法政大学修士(経済学)。主な著書に『税と社会保障の抜本改革』(日本経済新聞出版社、11年6月)『年金制度は誰のものか』(日本経済新聞出版社08年4月、第51回日経・経済図書文化賞) など。(現在の公職)社会保障審議会日本年金機構評価部会委員、社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会委員。


西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門

増加する社会保障費の財源確保に向けて、政府は消費税引き上げの議論を本格化させている。だが、社会保障をめぐる議論は複雑かつ専門的で、国民は改革の是非を判断できない状態に置かれている。社会保障の専門家として名高い日本総研の西沢和彦主任研究員が、年金をはじめとする社会保障制度の仕組みと問題点を、できるだけ平易に解説し、ひとりひとりがこの問題を考える材料を提供する。

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