人口減少は邪悪なものという論調が多い。「地方消滅」などと刺激的に表現されることも相まって、「人口減少に抗うために」というフレーズも目にする。しかし、そもそも人口減少は抗うべき対象なのだろうか。
人口減少の対策を牽引するのは内閣官房傘下の「まち・ひと・しごと創生本部」であり、同組織が作成した「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2017 改訂版)」では、特に経済的な観点から人口減少を問題視しつつ、こう記す。
“経済の好循環が地方において実現しなければ、「人口減少が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が人口減少を加速させる」という負のスパイラル(悪循環の連鎖)に陥るリスクが高い。そして、このまま地方が弱体化するならば、地方からの人材流入が続いてきた大都市もいずれ衰退し、競争力が弱まることは必至である。
したがって、人口減少を克服し、将来にわたって成長力を確保するため、引き続き以下の基本的視点から人口・経済・地域社会の課題に対して一体的に取り組む。”
『一極集中』という表現に対する違和感
この「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の取り組みの筆頭には「東京一極集中を是正する」とある。ここでは東京への移住を抑制し、地方への移住促進を計ることで、地方人口の維持をはかる。