東京オリンピックの喧騒が去った2020年、あなたはどんな生活をしているだろうか?
AIによってシンギュラリティは起きるか? ヒト以上にやさしいAIは登場するか? ヒトとAIはどう共存していくのか?
構想・執筆に2年、「愛」がテーマという注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』が話題となっている。ビットコイン、ブロックチェーン、ディープラーニング……正確な技術論と、その道の世界的権威の見解をもとに緻密に描いた作品で、SFではない、小説風の解説書というから注目だ。
実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?
AIは苦手というあなたも、これさえ覚えておけば、周囲から尊敬の眼差しを浴びるかもしれない。
2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りする。
(構成・寺田庸二)

作曲AI、Flow Machinesは
ビートルズを超えるのか?

 冒頭から恐縮ですが、今音楽を聴ける状況にいるのであれば、ぜひYouTubeで「Daddy's Car」という曲を聴いてみてください。
URL:https://youtu.be/LSHZ_b05W7o

 今聴けない人はあとで試聴していただきたいのですが、おそらく誰もこの曲の作曲者がAIだとは気付かないと思います。

 そもそも、本稿は「音楽とはなにか」を論じる場ではありませんし、音楽がどういうものかわからないという人もいないでしょう。

 ただ、楽器を演奏しない人には退屈な話かもしれませんが、ものすごく単純な音楽理論を少しだけ紹介させてください。

 音楽の三要素は、メロディー、コード、リズムです。
 アカペラであっても、伴奏がないだけでコードはあります。
 また、リズムはドラムのテクニックの話ではなく、4ビートかワルツかといった拍子や、メロディーが流れる速度のことだとざっくりと解釈してください。

 もう1つだけ補足すると、コードというのは「3つの音の集合体」で、「ド・ミ・ソ」なら「C」というコードになります。
 そして、この「ミ」の音を半音下げると「Cマイナー」という少し暗い雰囲気のコードになります。

 このように、音楽というのは、まったく無の状態から各作曲家がなんのルールもなしに勝手に作曲しているわけではなく、「人間が作り出した」最低限のルールの上で作曲をしています。