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イノベーターのための問題解決法

視点をリフレームする:
顧客視点でイノベーションを考える

白根英昭 [大伸社取締役]
【第1回】 2012年4月10日
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あなたは家電量販店のユーザーです。あなたが「店に行く」「購入する」「再購入する」目的としてそれぞれ何が考えられるでしょうか。あなた自身の経験を参考に、思いつくだけあげてみてください。

・あなたがその家電量販店に行く目的は?
・あなたがその家電量販店で購入する目的は?
・あなたがその家電量販店で再購入する目的は?

顧客の目的は、家電量販店の直接的な機能に収まるとは限りません。例えば、顧客が店に行く目的には「安い店を探す」「現物を確認する」以外に「時間をつぶす」「待ち合わせる」「トイレを使う」といった目的があります。

 顧客が何かを購入するのは、購入した家電を使うこと以外に「家族に尊敬される」「達成感を味わう」といった目的が考えられます。顧客が同じ店で再購入するのは「特別扱いされていると感じる」「面倒な意思決定から解放される」ことが大切だからかもしれません。このように、顧客の目的を深く考えると、企業が想定している範囲を超えていきます。顧客の目的は企業の目的と同じ次元にはないのです。

 

顧客に視点を転換し、感情移入する

 顧客が行動するのは、企業のためではなく、自分自身の欲求や願望を満たすためです。企業はユニークなアイデアや革新的な技術、優れたビジネスモデルを追求する前に、まず顧客の欲求を満たすことに焦点を当てなければなりません。

 しかし、現実の場面で企業が「顧客はどんな結果が得たいのか?」「顧客はどんな気持ちになりたいのか?」と考えることはほとんどありません。わたしたちは自動的に「どのようにすれば自社の製品を顧客に買ってもらえるか?」「どのようにすれば自社の製品を顧客に好きになってもらえるか?」と考えてしまいます。

 企業視点の問題は、顧客の態度や行動を変える手段の検討に終始してしまい、顧客の目的について深く考えなくなってしまう点にあります。家電量販店の例が示すように、顧客の目的は、企業が考えるほどはっきりしたものではありません。企業は意識的に企業視点から顧客視点に転換し、共感や感情移入といったスキルを使って顧客の隠れた欲求を深く理解する必要があります。

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白根英昭 [大伸社取締役]

1963年大阪生まれ。1988年大伸社に入社。2002年にペルソナやエスノグラフィー等のデザインリサーチに基づくイノベーションサービスを開始。2004年より同社m.c.t.事業部取締役。一橋ビジネスレビュー(2007年) 、 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(2010年) などに寄稿。2008年から 関西の産官学共同によるソフト技術者の養成塾で講師を担当。ペルソナ&カスタマエクスペリエンス学会理事。

 


イノベーターのための問題解決法

イノベーションを意図的に生み出すのは簡単なことではない。どのようにすれば組織的に、繰り返しイノベーションを生み出すことができるのか。エスノグラフィーの活用による人間中心イノベーションに、ひとつのヒントがある。この連載では、エスノグラフィーを使って問題をリフレームし、飛躍的なイノベーションへと結びつけていく方法を紹介する。

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