シリコンバレーでIT企業家として長年活躍してきた著者が、ITの専門家としての技能を生かして、自らの体を「ハック」し尽くし、さらには23年の歴史を持つパロアルトのNPO、シリコンバレー保健研究所の所長(後には会長)として、さまざまな医学分野のエキスパートに取材し、現在の科学の最先端の脳の機能UP法を1冊にまとめた。タイトルは『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』。本稿では、同書から特別にそのハイライトを紹介したい。

「デトックス」は意味があるか?

「デトックス(解毒)」という言葉は近年、衛生や健康の世界であまねく見られるようになった。それはしばしば、大きな結果を約束している一連の(ときに奇妙な)食事療法を説明するのに引き合いに出されている。しかし、デトックスとはいったい何だろうか?

 そもそも僕らの体内でどんな毒がうろついているというのか?

 デトックスはさまざまな形態をとりうるが、じつは正しいデトックスは毎日に不可欠なものだ。毒が脳に及ぼしかねない影響のせいで、デトックスは脳のパフォーマンスの最適化という点ではきわめて重要だ。事実、人体は生まれながらに独自の解毒システムをもっており、いくらかの毒は自ら除去することができる──けれど僕らが毎日さらされている化学物質を処理して完全に除去できるなどと考えるのは甘すぎる。

 この本の前のほうで、ミトコンドリアとは、細胞に力を与え、環境にどう反応するかに影響する微細なバクテリアだと学んだ。そして前章では、バクテリアとカビは、太古の時代から、互いに相手を阻害する毒素を生み出しあって死闘をくり広げてきたことを見てきた。それならば、カビとそれが生成する毒素があなたのミトコンドリアの機能を阻害しても不思議はないのでは?(*1)

 カビは有毒化学物質マイコトキシンを、概して人には匂いもせず味もわからないほどにごく微量に生成する。けれども、それはカビが肺や皮膚を通して体内に入れないという意味じゃない。それどころか、あなたの食べるものや水にも入り込める。もっと怖いことには、複数の種のカビが相乗作用で異なる毒素を生成する。つまり、カビがそれぞれ互いの効果を高めあうのである。