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弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年

インハウスローヤーとして企業内で働く胸中
「弁護士人数増加」のドグマを支えるためではない

【第5回】 2012年4月6日
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弁護士急増政策によって生まれた大量の若手弁護士たちのなかには、社会の弁護士ニーズとのギャップに直面し、弁護士事務所にイソ弁として働く就職口が見つからず、食うに困る者もいる現状は第3回でレポートした。そんな弁護士界で、このギャップを解消する救世主として日本弁護士連合会も期待を寄せているのが、組織内弁護士である。インハウスローヤーとも呼ばれ、企業の法務部で会社員として働く。しかし、その数はまだまだ少数であり、どのような仕事を担っているのか、具体的に弁護士の間でもあまり知られていない。インハウスローヤーとして働くイメージを持てないのか、若手で積極的に目指す弁護士も少数だという。今回は、インハウスローヤーとして会社に飛び込んだ2人の若手弁護士の姿を紹介する。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

358社に667人が勤務
10年で10倍に増加

 「カミさんを説得することに苦労したくらいですね。会社勤めにまったく抵抗はなかったし、期待と希望を抱いてインハウスになった」

 こう話すのは外資系銀行の法務部で働く弁護士A氏。54期で34歳。弁護士としてのキャリアはすでに10年以上ある。司法修習後はイソ弁として都内の中堅法律事務所に勤務していた。企業法務、なかでも金融機関の案件に関わることが多く、銀行にも出向した経験を持つ。

 A氏は、もしその事務所でパートナー弁護士になったり、また、独立して弁護士事務所を開設したりすれば、年収が今の数倍になっていた可能性もあった。また、それが一般的な弁護士の成功例でもある。その道を選ばず、会社員として働くと決めたA氏に、妻は抵抗したのだろう。しかし、本人は「事務所のイソ弁時代よりもやりがいを感じている」と、自ら選んだ道は正しかったと話す。

 いま、こうした企業に勤める弁護士が急増している。2011年末で667人、358社に弁護士が勤務している。10年で10倍である。

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弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年

司法制度改革から10年が経った。法曹界の2割しか機能していない現実を「2割司法」と呼んで問題視し、矢継ぎ早に司法制度が改革されてきた。市民に近い弁護士界を掲げたり、弁護士人数を増やそうと司法試験制度や法科大学院制度を整備したり、さまざまな改革を行った。同時に、過払い金返還請求という空前のバブルも到来した。しかし、弁護士界は制度の理想と現在の姿は必ずしも一致していない。改革とバブルに激しく揺らされ、ただ混乱をしているように見える。

「弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年」

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