もはや世界は「ジャパンパッシング」で動く状況に陥っている。

 実際、北朝鮮の非核化問題と緊張緩和については、安倍首相はほとんど「蚊帳の外」に置かれている。

 このことはある意味、当然だろう。

 北朝鮮問題では、政権維持のために北朝鮮リスクをあおることしかしてこなかったからだ。

 北朝鮮のミサイル実験のたびに、「Jアラート」を繰り返し鳴らして人々を田んぼにしゃがませ、昨年10月には、北朝鮮の脅威をあげ「危機突破解散」と銘打って解散権を乱用した衆議院選挙で多数の議席を獲得した。

 実際、北朝鮮外交でも、安倍首相は「話し合いのための話し合いは無意味」と繰り返し、少しでも対話の機運が出てくると、「北朝鮮は何度も約束を反故にした」と言い続け、防衛費の増強を行った。

 韓国の文在寅大統領が北朝鮮にピョンチャン・オリンピック参加を促し、実現させた際も、安倍首相は当初、開会式への出席を渋った。

 首相の強硬姿勢に呼吸を合わせるように、河野太郎 外相も、南北の首脳や中国の習近平国家主席らが、朝鮮半島の安定や南北の平和的共存に踏み出した中朝会談、南北会談の前後にも「圧力」一辺倒の外交を崩そうとしなかった。

「北朝鮮と国交断絶をせよ」とか「北朝鮮は核実験を準備している」といった発言を繰り返した。

 だがこうした発言に対して、米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」は、衛星画像では裏付けできないとし、中国外務省の耿爽副報道局長が4月3日の記者会見で「足を引っ張らないでほしい」と批判する一幕もあった。

 実際、4月27日の南北首脳会談が成果を収めたのは、むしろ「アベ外し」が成功に導いたと言ってよいだろう。

 南北は対話の積み重ねによって、首脳会談で、朝鮮半島の「完全非核化」を共通目標とし、朝鮮戦争の終戦と平和協定を目指すことで合意し、共同宣言では南北と米国の3者あるいは中国を加えた4者会談で実現していくことが明記された。

 米国と歩調をあわせたつもりで強硬姿勢をとっても、米国自身、さらに中国もすでに発想を切り替えたドライな外交戦略を取り始めているのだ。