「転職」と「副業」、受容の時間差

 近年、「働き方」との関連で、「転職」と「副業」が話題になる機会が増えた。私事で恐縮だが、筆者は、職業人生の中で、転職も副業もやってみたことがある。転職は12回したし(これは、さすがに多すぎると自分でも思う)、副業を持っていた期間は通算20年近い。

 後述するように、現在、ありがたいことに、世間で転職する人は珍しくなくなったし、転職者が日陰者のように扱われることはない。一方、副業の方は、筆者の知り合いでも会社に隠れて行っている人が複数いるし、世間の平均にあっては、まだ胸を張って「私は副業を持っています」と言える雰囲気ではない。

 一方、いわゆる「働き方改革」の流れ、人手不足の影響、人生の長寿化に公的社会保障が追いつかないことへの対策などの影響と思われるが、最近になって、政府はサラリーマンの副業について「原則容認」に舵を切った。

 はっきり言って、転職も副業もサラリーマン個人が持つ当然の権利だ。勤め先の会社に不当な迷惑を掛けることは厳に避けるべきだが、「会社ごとき」が、社員の転職や副業の可否を判断したり、仕事の量や会社以外の収入源からの稼ぎについてとやかく言うこと自体がおかしい、というのが基本認識であるべきだ。労働時間、健康管理、複業の稼ぎの多寡などは、基本的に社員個人が判断すべき問題だ。

 とはいえ、筆者の経験から言っても、転職や副業に対する会社の同僚や世間の目は、当初、冷たいものだった。