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森信茂樹の目覚めよ!納税者

維新の会「船中八策」のフラット・タックス
橋下市長がこれから具体的に語るべきこと

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第25回】 2012年4月11日
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維新の会の船中八策に驚いた

 大阪維新の会の掲げる「船中八策」は、今のところあまりに抽象的すぎて、とても「国の形」をあらわすものではない。中には「消費税を地方税に」という項目など、実行不可能と思われる内容も含まれている。

 そう前置きしたうえで、これは、と驚くことがあった。それは、「フラット・タックスの導入」という項目があったことだ。

 実は、私は08年7月にある雑誌に「理想の税制―ユナイテッド・タックスの提言」と題し、「フラット・タックスと給付付き税額控除(負の所得税)とをセットにした税制(ユナイテッド・タックス)が理想の税制だ」という小論を寄稿したことがある。

 また、税の専門誌にも「理想の税制―ユナイテッド・タックス」として、同様の随筆を掲載したことがあり(「税務弘報」09年2月号)、税制としては優れているものである。

 フラット・タックスは、学問上では、ホール・ラブシカ型フラット・タックスを指す。米国の経済学者ホールと政治学者ラブシュカによって提言された税制で、レーガン2期の税制改革(1986年)に影響を与え、その後の米国税制改革議論でも、目指すべき一つとして唱えられているものである。

 その本質は、付加価値を課税ベースとする税、つまり消費課税の一種である。橋下市長はテレビで、単一税率の所得税のような解説を行っていたが、それは正確ではない。

 もっとも、一見したところでは、同じ単一税率の所得税、法人税とほとんど変わらない。また、税率が単一なこともあって、大幅に簡素な税制となる。この2点(現行税制とあまり変わらないという点と簡素性)に、フラット・タックスの最大の政治的な長所がある。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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