維新の会の船中八策に驚いた
大阪維新の会の掲げる「船中八策」は、今のところあまりに抽象的すぎて、とても「国の形」をあらわすものではない。中には「消費税を地方税に」という項目など、実行不可能と思われる内容も含まれている。
そう前置きしたうえで、これは、と驚くことがあった。それは、「フラット・タックスの導入」という項目があったことだ。
実は、私は08年7月にある雑誌に「理想の税制―ユナイテッド・タックスの提言」と題し、「フラット・タックスと給付付き税額控除(負の所得税)とをセットにした税制(ユナイテッド・タックス)が理想の税制だ」という小論を寄稿したことがある。
また、税の専門誌にも「理想の税制―ユナイテッド・タックス」として、同様の随筆を掲載したことがあり(「税務弘報」09年2月号)、税制としては優れているものである。
フラット・タックスは、学問上では、ホール・ラブシカ型フラット・タックスを指す。米国の経済学者ホールと政治学者ラブシュカによって提言された税制で、レーガン2期の税制改革(1986年)に影響を与え、その後の米国税制改革議論でも、目指すべき一つとして唱えられているものである。
その本質は、付加価値を課税ベースとする税、つまり消費課税の一種である。橋下市長はテレビで、単一税率の所得税のような解説を行っていたが、それは正確ではない。
もっとも、一見したところでは、同じ単一税率の所得税、法人税とほとんど変わらない。また、税率が単一なこともあって、大幅に簡素な税制となる。この2点(現行税制とあまり変わらないという点と簡素性)に、フラット・タックスの最大の政治的な長所がある。