取締役が職務に費やし、戦略にコミットする時間は増えている。だが最新調査では、大部分の業務に関して取締役会の有効性を評価し、優れたフィードバックや研修の実践を報告した回答者はほとんどいなかった。

 取締役会メンバーからは最近、その職務にかつてない時間を割いているという声を聞く。実際、2011年以降取締役業務に充てられる時間は増え、費やす時間という観点では、取締役自身が望ましいと考える姿とのギャップは半減した。

 企業の取締役会に関する最新のマッキンゼー・グローバル・サーベイ(McKinsey Global Survey)[注1]では、多くの取締役会において、戦略に関わる議論が重点事項であることが確認された。ただそれでも、取締役たちは他のどの分野より、戦略に関わる論点にまだまだ多くの時間をあてたいと望んでいるようだ。

 取締役会が企業価値に及ぼす総合的な影響について取締役に質問したところ、回答者は共通して、その影響力を高い、あるいは非常に高いと考えていることが判明した。これは以前の調査でも同様である[注2]

 取締役会の価値創出力に対する理解を深めるため、私たちマッキンゼー・アンド・カンパニーは大企業をより詳細に検討し、取締役会の総合的な影響力、リスク管理等個別的なタスクの有効性、さらに取締役会の運営に対する評価の間にあるパターンがあることを特定した。その分析により浮上した取締役会の3つのタイプを無効型、自己満足型、そして発展型と呼ぶことにする。

 興味深いのは、取締役会の総合的な影響力に関する一部の取締役の回答は、個別的なタスクに関して取締役会がいかに有効に機能しているかという評価と異なっていることである。